TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

器たちとともに


5月も最終週になりました。


月曜日はスタッフのえっちゃんこと神田さんがお休みなので、一人で器たちといます。

北側の窓側に机があり、そこに座って原稿を書いたり、手紙を書いたり、メールのお返事を書いたりしています。

反対側のデッキでは植物たちが風に緑の葉を揺らしている、その手前のテーブルに、器たちか並んでいる。
その様子を、わたしは、机の前に座って眺めています。

高台にあるゆえなのか、車の音もほとんど聞こえず、時が止まったように静かです。

午前中は器を求めに来てくださった皆さんと、器についてのお話。

それも月曜日の午後3時には途絶えて、一人の時間になりました。

こうした午後の静かな時間に流れる、「わたしと器」の親密な空気を、とても心よいものとして感じています。器は寡黙に、じっとしています。「当たり前にそこにいてくれる」古い付き合いの友人のように。あるいは言葉を交わさなくてもわかりあえる老夫婦のように。


今日もここから、それぞれのお家へ、器たちは行きました。

わたしはできる限り 丁寧に器を包みました。

選んだ器を大事に持っていってくださる皆さんに、わたしは頭を下げて見送ります。


どんなふうに、使われて、どんなふうに育っていくのだろう・・・とふと思います。みんな大事にしてもらえたらいいなと。


「家族が、この器で食べると美味しいって言ってくれました」
「思春期の息子が、お母さんこの器はぼくのにするからって、普段、満足に会話をしなくなったのに、器を通じて、話ができました・・・」

時々、そんなお話を伺うと、ほっとして「よかった」と心底思います。


器たちは、それぞれの家で、生きていく。
使われて、かけがえのない家族の時間の中で生きていく。

そのことが、ただ、わたしには嬉しいのです。



お知らせ

セツローさんのスケッチ展が、鎌倉のアトリエキカで 行われます。
くわしくは、うつわ祥見のホームページをご覧ください。

http://utsuwa-shoken.com



うつわ祥見では5月24日〜31日まで 『テーブルにあるもの。展』を行なっています。くわしくは、うつわ祥見ホームページ http://utsuwa-shoken.com



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