TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 9月になると

もうすぐ日付が変わると、9月5日になります。

昨日までは8月の影の中にいたのに、5日も経つと、9月は立派な顔をして船の舵とりをするみたいです。

暑い暑い夏をやり過ごしたなぁ・・・とほっとため息する、そんな気分になりますね。

そんな気分にうまく呼応してか、最近、また村上春樹さんの『遠い太鼓』を読み返しています。どの章をどこから読んでも面白いので、眠る前に枕元の灯りを付けて、頁をめくります。

ギリシャの貸しテラスの管理人・管理人ヴァンゲリスという人物に、何か特別に惹かれますね。何回読んでも、毎回そうなので、わたしが好きな人物像というのは、決まっているのかもしれません。

ヴァンゲリスはどこにでもいる、まじめな、まっとうな人物です。

たぶん万国共通の、「偉ぶらない人」なのではないだろうか。

もちろん、さまざまな欲望は普通にあるけれど、朝日に向かってちゃんと顔を向けられる人。「人生がどんなふうに終っても、構わんよ」と堂々としている。
家族のことをいつも思っている。権力や世間の風評なんて最初から価値を持たないことを知っているので、何も恐れないし、誰かの足をひっぱることもしない。
顔には皺が勲章みたいに刻まれている。そんな人物。

この日本にも、そんな市井の人が大勢います。わたしの身近にも。

和菓子屋のおじさん、豆腐やさん、魚やさんのご夫婦。いつもお世話になっている小さなお店の、そういう「偉ぶらない」人たち。ご自分の仕事に誇りを持って生きている皆さんの働く姿に、いつも励まされているのを感じています。

わたしが器に求めるものも、そういう「なんでもない」ものがいいなぁと思うのです。


○次回OPENDAYは、9月6日〜9月10日です。
実はこれが、今年最後の常設展示のOPENDAYです。あたらしい器たちが、たくさん並びます。

○9月の展覧会は、「尾形アツシ陶展」

粉引き、刷毛目、灰釉。求めるものの厳しさを感じさせる尾形さんの鎌倉初個展です。


○9月8日 北鎌倉の「雪堂美術館」で「宙の音の葉コンサート」(祥見知生コーディネート)が行われます。

出演 大小田さくら子さん(やまとかたり) 雲龍さん(笛) KNOBさん(ディジュリドゥ)

開場 14時30分 開演 15時  → お陰様で前売りで完売となりました。




くわしくは、うつわ祥見のホームページでお知らせします。

うつわ祥見ホームページ  http://utsuwa-shoken.com