尾形アツシ陶展
真夏のような暑い日が続いています。9月に入り、涼しさを感じ身体が秋を迎えようとしていたところへ、もう一度この暑さ。夏の暑さよりも堪える感じがいたします。
三連休の中日には、12月に行う「冬仕度のテーブル展」の打ち合わせをスタイリストの駒井京子さんと。
駒井さんは、セツローさんの展覧会をきっかけに出会った方です。
『「ありがとう」の届け方』『お茶のある暮らし心静かな』(ともに主婦と生活社)などの本を多く手がけていらっしゃいします。
陶の深田容子さん、木の須田二郎さん、布の平岡あゆみさん、そして、スタイリストの駒井さん。スタッフのえっちゃんも企画の初担当になり、「冬仕度」という言葉を見つめて展覧会を作っていきます。
いくつかのプランが打ち合わせでも出てきて、私もとても楽しみです。
さてさて、2007年後期スケジュールの初めての展覧会が、もうすぐ始まります。
「尾形アツシ陶展」 2007年9月21日(木)〜29日(土)です。
尾形アツシさんの器をはじめて紹介したのは、2004年「てのひらの器展」です。
それから、うつわ祥見の展覧会では、欠かせない存在となりました。
主な器展を数えるだけで、鎌倉山の苔丸で行った「花と器展」(2005年と2006年)や、なると屋+典座の「ごはんのうつわ展」(2005年)、「うれしい小皿展」「やさしい野菜やさしい器展」(ともに2006年)といった展覧会があげられます。
尾形さんとは、瀬戸の工房を訪ねた時に、「愛知県立陶磁資料館」をご一緒しました。そのときに、ガラスケースの向こうにある古陶器に向かって、話しかけるようなそぶりで「この色がいいんだなぁ」とか、「これがなかなか出ないんだ」などとおっしゃる尾形さんを見て、何か時間や概念を越えて、器づくり、やきものの道へ進む人の、強さを感じたのです。
やきものの歴史は、きっと、こうした「うつわびと」の営み、陶芸を生業としてきた人間の仕事の重なりが、一本の道を作ってきたのでしょう。
粉引き、灰釉、刷毛目。
「求めるもの」の厳しさが器にあらわれ、ここ数年の彼の作品には、ある「品格」を感じられるようになりました。
器は使い続けて、その奥行きが増すものです。
尾形さんの器にあるのは、そうした確かなものへの信頼ということでしょうか。
本来、器というものの成り立ちには必然の「使われてよくなる」という当たり前のことが、尾形アツシの器には「ある」のです。
そのことを、頼もしいと思いますし、デザインばかりが重視され、器づくりの本質が見えにくくなっている中で、
わたしが尾形さんの器を伝えたいと思う理由もそこにあります。
瀬戸から「奈良」へ、今年工房を移転された尾形さんの、うつわ祥見での初個展。
手にとり、じっくりと器をご覧になってください。きっと何かが伝わると思います。
9月23日(日)には奈良より尾形さんがいらっしゃいます。
どうぞお出かけください。
「尾形アツシ陶展」 2007年9月21日(木)〜29日(土)
会期中は無休です。
うつわ祥見ホームページ http://utsuwa-shoken.com