TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

時を経た器たち展


鎌倉は抜けるような青空、12月最初の日曜日です。

札幌の姉からは「札幌は雪です」というメールが届きました。

雪が降る季節になると、思い出すのは、誰も踏み入れていない新雪のふんわりと積もった、その美しさです。雪かきというのは、人が通る場所をするもので、それ以外の、たとえば庭の平地などは、雪がなだらかに降り積もるのです。
雪の白という色は、冷たいのではなく、あたたかな色です。
雪が音も無く降る様子を眺めるのが何よりも好きでした。

冬の朝の、雪が止んだ青空の日に、きらきらと光を反射する新雪は、今思っても言葉に形容できないほど、心の奥深いところに響く美しさでした。

少々、センチメンタルですね。


今日は午後から、馬喰町ART+EATへ向かいました。


「時を経た器たち展」の搬入です。


時間が経った器の展覧会を開きたいと、ずっと願ってきました。

時間という、限りのあるものを、器は映す。食べるための道具である器に、かけがえのない時間が、降り積もる。時という目に見えないものが、そのとき、器を通して、わたしたちの前にあらわれてくる。
器は、人の生き方を映すものであり、そのことが、せつなく、ただ愛しいのです。


京都の恵文社での展示に続いて、東京での展示です。

『日々の器』(河出書房新社)の出版を記念して行われます。

本書でも紹介した、時を経た器たちを、ぜひご覧ください。

めし碗、皿、鉢、湯呑み、土が締まってさらに趣きを増した器たち。器という食べることに支える道具に、降り積もる時間は、かけがえのないあなた自身の時間であるということを、感じていただけたら・・・。そして、器というものを、大切な誰かを愛するように、愛して使ってほしいと思います。

会場では、この展覧会のために、新たに作っていただいた「日々の器」たちご紹介します。器をお求めいただけます。

哲平さんの薪窯の作品、村木さんの三島碗、尾形アツシさんの刷毛目、石田誠さんの南蛮焼締とデルフト、小山乃文彦さんの粉引き平皿(『日々の器』表紙の器)、村田森さんの染付けなど。

器というものを、深く感じていただける展覧会となっています。

どうぞお出かけください。

○『日々の器』(河出書房新社 11月発売)出版記念「時を経た器たち」展

 東京馬喰町ART+EATで12月8日〜12月19日まで。会期中は14日(日)休廊です。

くわしくは、馬喰町ART+EATのホームページをご覧ください。

馬喰町ART+EATホームページ http://www.art-eat.com/


○うつわ祥見の今年最後の展覧会は、「吉岡萬理 陶展」です。

12月9日(火)〜14日(日)まで。

 奈良から、萬理さんがいらっしゃいます。

 今年最後のオープンです。 ぜひお出かけください。