TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

展覧会を終えて

吉岡萬理さんの展覧会が終了しました。うつわ祥見の今年の最後の展覧会です。

お出かけいただいた皆様 ありがとうございました。

明るく人を励ます器づくりをされている萬理さん、今回も、たくさんの希望を器にこめてくださいました。

わたしは理屈ぬきに、それらの器たちが好きです。それは、晴れ渡る青空が好きなように。木々が風に揺れる様子を時間を忘れて見ているのが好きなように。

器を伝える仕事をしていて 信じているのは、こころに響く器を、何よりも愛する気持ちで伝え続けていこう、ということです。

そして、この鎌倉のはずれの辺鄙な場所を愛してくださる皆さんがいて この場所から器が手渡っていきます。

少し照れずに言いますと、それは「幸福」という名のバトンなのかもしれません。

作り手の手から、使う方への「手」へ。

手から手へと、伝えられるもの・・・それが器です。それは、「かたち」という目に見えるものもでもありますが、たぶん、わたしが伝えたいのは、目には見えないものなのでしょう。

そして、ここで器を選んでくださる皆さんは、その見えないものを受け取ってくださっていると、わたしは信じられるのです。そのことが素晴らしいのです。(この表現・・・わかる方にはきっと伝わると思います)

こころが置き去りにされた時代に、言葉に限界を感じたこともありました。文章を書いていて途方にくれることもしばしばでした。世界は閉塞感に包まれて、どこにも出口がないように感じました。

人の歴史は争いの繰り返しであり、そこにはどうすることもできない壁があるのでした。

いまも悲しいことは続きます。

でも、いまは、人が生き続けるための「食べる」ということの足元を見つめ、食べるための道具である器を、一つひとつ、手渡す展覧会を開くことで、何かをほんとうに信じられると感じる自分がいます。

それは、器を通じて出会った皆さんとの、「幸福」なつながりにほかなりません。

来年の展覧会のスケジュール、もうすぐ決定して お伝えします。2009年の展覧会も、とても充実しています。

新年度は新しい発表もあるかも・・・。



○東京馬喰町ART+EATでは、『日々の器』(河出書房新社 11月発売)出版を記念して「時を経た器たち」展が行われています。

 12月8日〜12月19日まで。

くわしくは、馬喰町ART+EATのホームページをご覧ください。

馬喰町ART+EATホームページ http://www.art-eat.com/

わたしは16日、18日に在廊します。