TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

札幌へ

馬喰町ART+EATで行われていた『日々の器』出版記念「時を経た器たち展」が先週末、終了しました。これで今年すべての展覧会が終わりました。

ありがとうございました。

器たちは、年の瀬にかけて活躍しているでしょうか。

『日々の器』出版記念「時を経た器たち展」。

使われて時が経った器たちを、実際にご覧いただきました。
「器がこんなふうに育つ」ということを、感じとってくださった方が多かったことが、とても嬉しいことでした。

最終日には在廊できなかったのですが、最後まで訪れてくださる方の足が途絶えない展覧会でした。師走の忙しい時期に、お出かけくださった皆様 ありがとうございました。


この週末は、故郷・北海道へ行ってきました。

器展や音楽の会で、旅の多い一年の締めくくりの旅です。


ほんの数日でしたが、家族とともに楽しい時間を過ごしてきました。

足元が心配で出かけたものの、札幌はまったく積雪がなく、拍子抜けでしたが、帰る日の朝になって、粉雪が空を舞い、夕方のフライトの時刻には、薄っすらと道路に雪が積もっていました。

雪の舞う千歳空港を飛び立つときは、今度はいつ帰ることができるだろう・・・とそんな思いが胸を締め付けます。

お寿司も、地元でも評判の中華食堂での料理も、札幌ラーメンも、老舗ホテルの朝食も食べたけれど、やっぱり一番美味しかったのは、母が作ってくれたお煮しめと、南瓜と小豆のぜんざいです。

冬至に、これを食べると長生きするんだよ」と母は言います。

母は家族のために、毎年欠かさずこの風習を守っているのでした。きっと、祖母の時代からずっと守ってきているのではないかと思います。


札幌では毎年夏に開いていた器の展覧会がお休みしています。

今年は西日本での展覧会が多かったのですが、ぜひ近い将来 札幌での「うつわ祥見INさっぽろ」を復活させたいと思っています。そして、北海道の皆さんと、また再会したいと思っています。


そして、鎌倉に帰ってきた翌日。

今夜は、鎌倉芸術館小ホールで行われた「矢野顕子さんのコンサート」へ行ってきました。

ヤノさんは、前にも書いたかもしれませんが、映画「ピアノが愛した女」のレイトショウを見て以来、とても好きです。尊敬している、と言ってもいいかもしれません。

もう10年近くも前になりますが、少し大きな病気をしてからは、毎年「生きている」ご褒美に毎年ヤノさんの「さとがえるコンサート」へ行くのが常でした。

鎌倉芸術館小ホールは、ごぢんまりとしていますが、音響といい、客席数の少なさといい、なんでもない感じが素晴らしく、わたしの理想とするホールです。

ご自身が気に入っているというグランドピアノを弾き語り伸びやかに歌うヤノさん・・・最後の一曲まで、プロ中のプロの音楽を聴かせてくれました。素晴らしかったです。

音楽って、わかりやすくて人に感動を与えようとするものが多いけれど、細野さんもヤノさんも、まったく違いますね。

薄っぺらに感動を押し付ける音楽ではなく、人間の内側の核のようなものまで震え、悦びに満たされる。本当に洒落ているというのは、彼女のような音楽家の仕事だと思います。

器も、本を作ることも、音楽も、どんな仕事も、プロの仕事でなくてはなりません。

ユーモアや、重さと軽さを持ち合わせ、鼓動の聞こえるほどに生き生きとした仕事でなくてはなりませんね。

そんな気持ちで、帰ってきました。

来年も、逃げずに、耳をふさがす、前をしっかりと見て、仕事がしたいものです。そして、またヤノさんのコンサートに酔いたいものです。


来年の展覧会の打ちあわせ、準備を、これから年末まで行います。

もうすぐ、クリスマスですね。

こんな時代だからこそ、こころ健やかに、一日一日を、過ごしたいものです。