毎日更新15日め
松山からセツローさんがいらっしゃいました。
朝、羽田空港までお迎えに行くと、いつものようににこやかなセツローさんの笑顔にほっとしました。
23区のシャツ、ヨーガンレールのジャケット、いつお会いしても抜群の着こなし、やっぱりお洒落ですねぇ。
「靴はコール・ハーンでしたっけ?」
「今日は違うね」
「あ、そうなんですね」
「今日はフェラガモ」
「ははは」(周りにいた全員が、はぁーすごいと言う顔)
午後1時に国立新美術館地階ギャラリーに着くと、もうすでにファンの皆さんが待っていてくれました。
さっそくセツローさんを囲んでの笑顔のやりとりが生まれていきます。セツローさんも嬉しそう。目を細めて、皆さんとの会話を楽しんでいらっしゃいました。
セツローさんの笑顔を拝見していると、「ここで展覧会を開くことができて本当によかったな」と思います。下の写真は、閉館後にギャラリー運営スタッフの方にサインを求められて応じているセツローさんです。
モノには、ものがたりがあります。
文字通りの「もの・がたり」です。
セツローさんが初めて東京で個展を行った「スペースたかもり」さんでの展覧会で、初めてセツローさんの作品に出会った日、わたしは胸が締め付けられるほど「セツローさんの手から生まれるもの」に感動しました。その日のことは、今でも鮮明に思い浮かべることができます。
そして、今日まで、セツローさんの優しさやたくさんの笑顔に励まされてきました。
かんざしとの出会いから1ヶ月ほど経って、松山のご自宅へ伺った日。
『セツローさん』の出版記念のパーティで、わたしが挨拶をしたとき、その言葉に涙を浮かべて聞いていてくれたこと。
ふたりで高速バスに乗り、松山から高知へ向かった車中で行ったインタビュー。
手と手をつなぎ、松山市内を歩いた日のこと。(セツローさんは足を悪くなってから周りの皆と手をつないで歩かれていたのです)
どれも、かけがえのない宝物です。
『セツローさん』『セツローさんのスケッチブック』『セツローのものつくり』
この三冊の本は、誰に頼まれたのでもなく、わたし自身が沸きあがる「思い」で執筆したり、編集したものです。
「本を読んでどうしても会いたくなった、という人が訪ねてくるんですよ」とご家族の方。
わたしの本を読んでセツローさんの「ものつくり」の素晴らしさを知る方がいらっしゃることは、大変嬉しいことです。
展覧会会場に漂う優しい空気は、まさにセツローさんならではもの。
作品から「もの・がたり」が生まれる瞬間に、今日、わたしは立ち会っていたのだと思います。
それは、「手から」生まれた、かけがえのない「時」であり、本当に素晴らしいことなのです。
セツローのものつくり展は4月20日まで。どうぞこの機会にセツローさんの作品の数々をご覧ください。
●セツローのものつくり展
東京・国立新美術館 地階 SFTギャラリー
2009年3月18日〜4月20日
くわしくはこちら→ http://www.cibone.com/sft/sftgallery.html
東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館B1
TEL: 03-6812-9933 FAX: 03-5775-4670
10:00-18:00 (金曜日のみ20:00まで)
毎週火曜日定休(祝日又は休日に当たる場合は開館し、翌日休館)
アクセス
●うつわ祥見の次回展覧会は木工家・須田二郎さんの木のうつわ展です。
2年ぶりの個展です。4月24日〜4月30日。初日に須田さんが在廊予定です。
●「吉岡萬理 カルロス君と色絵の世界展」 馬喰町 ART+EAT
2009年5月7日(木) 〜5月23日(土)
11:00〜19:00 金曜日は21時まで
日月休廊 会期中休み 5月10日・11日・16日・17日
最終日は17時まで
関連イベント
5月9日(土) 記念イベント
『カルロス君を想う』野菜料理とライブ「カルロス君のうた」発表会
カルロス君のうた (作詞:shokentomoo 作曲:武徹太郎)
18時受付 18時30分スタート
会費 3000円(税込)
大阪ブックギャラリー「イトヘン」で、吉岡萬理+祥見知生連載コラムが再開しました。
萬理さんの楽しく、明るいエネルギーが感じられるコラム、そして、わたしも相手が萬理さんとあって、とてもリラックスした文章を書いています。
●うつわ祥見の新しい空間 utsuwa-shoken onari NEAR が5月1日オープンします。
「よい器は、ここに来れば いつでも会える」
そんなお店になりますように。
鎌倉の裏駅から徒歩4分ほどの、「御成通り」の端っこです。
時間がゆっくりと流れているこの通りで、「器を伝える場所」を。
器を通じて新しいものがたりが生まれたらいいなぁ・・と思います。
また多くの方と出会えることを願っています。