たどり着ける場所に
笛奏者・雲龍さん、ディジュリドゥのKNOBさん、やまとかたりの大小田さくら子さん出演の「宙の音の葉」の公演が伊勢でありました。
昨日午後に名古屋経由で伊勢入り。
夜の公演を終えて、皆でファミリーレストランで食事。
同じメンバーで回を重ねての公演ですので、うちあげ会も 身内の食事会みたいでゆっくりと楽しい時間でした。
夜22時をすぎての伊勢はほとんどお店は閉まっていて、やっと開いていたのは「さと」というレストランでしたが、そう捨てたものではありませんね。和気あいあいと美味しくいただきました。
そして翌朝、内宮を参拝して、夕方に鎌倉に戻りました。
お伊勢さま、と、わたしは伊勢神宮のことを呼びます。呼ばせていただいている、といったほうがいいかな・・・
親しみをこめて「お伊勢さま・・」と呼びかけていたいと思うのです。
細野晴臣さんにインタビューを通じて出会った時代、細野さんは宗教学者の中沢新一さんと日本の聖地を旅した本を出されていました。
「観光―日本霊地巡礼」(ちくま文庫)。
子供のころには、縁日のある祭を楽しみにして神社を訪れるだけでしたが、
10代後半になって、ほかの場所とは明らかに違う「気」が満ちた場所として、神社を意識するようになっていました。
この本は当時の読者のほとんどがそう感じたように、刺激的で、新鮮に感じられ完成度の高い一冊です。
おそらく、今読んでも この本の内容はちっとも古びていないことでしょう。
雨の日曜日の「お伊勢さま」は、若い世代の参拝者が多かったです。
さて、今週の金曜日に迫った、細野晴臣さんの鎌倉ライブ。
200通を超えるメールの申し込みをいただきました。
さすが、細野さんです。
北は北海道から、南は沖縄まで、大勢の皆さんの熱い思いが届きました。
細野さんからは「気楽なカフェライブでいこう」と、いうメッセージが届いています。
抽選の結果、入場していただける方には、メールにてお知らせをしました。
もれてしまった皆さま、申し訳ない。でも、またぜひ企画していきたいと思いますので 宜しくお願いします。
伊勢の参道を一人で歩いていると、周囲の緑に圧倒されるのです。
樹齢1千年を超えた杉の大木を近くに感じて歩くと、人が生きていくこの時間はなんて短く儚いものなんだろう・・・という考えが浮かんできます。
地に絡み合うように太く根を下ろした大木の生命力は、みなぎる強さと、ただそこに存在する静けさがあいまって 圧倒されるのです。
「われわれは行かなければならない。そこにたどり着く場所があるのだから」10代からずっとそう思っていましたが、いまは、
その「たどり着く場所」が大事なんじゃなくて、「たどり着く場所に向かって歩いていくこと」が大事なんだと思う。
きっと、音楽の人も、小説を書く人も、家具を作る人も、落語家も、役者も、建築家も、器をつくる人も・・
「たどり着く場所」に向かって仕事をしているんだ、と思う。
わたしも、その場所に向かって仕事をしていくよ、と伝えたい。
今回、細野さんのライブで鎌倉に来てくれる皆さんも、ぜひ、器をちゃんと見てほしいな・・・
『器もロックなんです』清志郎さんに伝えた言葉です。
魂を揺すぶる力がある器たち、わたしが伝えたい「なんでもないもの」。ぜひ感じてください。