TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

不器用宣言?


夕暮れのNEARが好き・・・と書いた文章を読んでくれたのか、最近「ショウケンさんは夕暮れが好きなんですね」と言った若い人がいた。

「ああ、好きです」と、とっさに答えたけれど、

たぶん、今思うに、陰影のあるものが好きなのかもしれません。

あまりに明るく白日に物事を浮かび上がらせるのは苦手で。

わたしはふだん、器の写真を撮るのだけれど、「あ、いまだ」と思う瞬間があるんですね。

それは誰かが耳元でささやくような微妙なタイミングで。

はじめから「こうしよう」とか「こう撮ろう」とか計画はほとんどしないのですから、気ままなものですが、やたらめったら写真を撮ったりはしないんですね。

「あ、このとき」と思うだけで、そのことについて深く考えていなかったけれど、何か不思議とうまい具合に光が優しくなったり、翳ったりするので、結果的にぼんやりと思い描いていた写真になっている・・・ということがほとんどです。

少し前からちょっとずつお知らせしていましたが、新しい本について、お知らせです。

今年11月終わり頃、『器、この、名もなきもの』(里文出版)というタイトルの本を出版することになりました。

すべて書き下ろし、撮り下ろし(こういいますか?)です。

今までの本以上に、深く器を感じ入る本にしたいと考えています。

まるで、音楽のアルバムを作るような気持ちで、ひとつの表現として世界を作っていきたい、と思います。

夏の間は、原稿書きをこつこつといたします。

もしもこの日記を読んでくださる方で、新刊を待ってくださっている方がいらしたら、こう伝えたい。

「スタイル」も「それらしさ」も「センス」もいらない、ただ不器用に、愚鈍に「ただ深く器を愛する本にする」ことを約束します、と。

かっこよくて泣けますね。かっこ悪くて笑えますね。

でも、そういう不器用宣言があってもいいんじゃないかな、って思うのですよ。世の中に上辺だけの薄っぺらなものが多すぎるし、器用な人の器用な話はつまらないもの。

・・・と良い過ぎるのもよくないですが。

さて、そんな祥見が、札幌のcholonさんのサイトで器展についてのインタビューに答えています。

8月1日から始まる「ごはんのうつわ展」についてを中心に。

けっこうストレートな問いかけに、楽しく答えさせていただきましたので、ぜひご覧くださいませ。

http://journal.cholonweb.com/

今日から3日間に分けての連載のようです。嬉しいですね。

夕暮れの光の陰影の話から、ずいぶんそれてしまいましたが、今日はこのへんで。

おやすみなさい。

明日は打ち合わせを一件行って、そのあとは、ちらりとNEARへ行きます。

ではまた。