TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 しみじみとして

今日も一日お疲れさまでした。

こんな書き出しをしたくなったのは、日付が変わって、「また一日が過ぎてしまったなぁ」と思ったからです。

最近「寂しさの効用」という文章をこの日記で書きましたら、古い友人からメールが届き、自分もそんなふうに若いときに他所の家の灯りに寂しさを覚えたものだ・・ということが書いてありました。

そのメールの最後の一行に、

「良かったですよね〜寂しさを知っているうえで たくましくなれて…きっと あの頃の窓の灯りの中には 今の私たちみたいな 大人が住んでいたのですね…。」


・・・と彼女のメールにあって、また、しみじみとしてしまった次第です。(Mちゃん、メールにすぐに返事をしたのに、なぜか返ってきてしまうのはなぜでしょう。。。また連絡、こちらもしますね・・・)


最近、音楽家の大貫妙子さんのライブを拝見する機会があり、じっくりと音楽を聴かせていただいたのですが、

ラストのほうで歌われた『懐かしい未来』という曲を紹介するときの大貫さんの言葉がとても印象深いものでした。

この曲は地球の環境のことをテーマに、作られたそうですが、「変なタイトルですけれど・・・」と少し笑って続けて

「いま失くしてしまったものを、きっと未来に取り戻そうとしている」というようなことを曲を歌う前に言われたのです。

美しい、こころに響くよい歌でした。


未来に取り戻そうとしていると感じることは人それぞれかもしれないけれど、
わたしは、それを器を通じて伝えたい、と思っているのかもしれません。


このところずっとかかりきりだった新刊『器、この、名もなきもの』 もうすぐ入稿となり、12月のはじめに完成します。

「ショウケンさんは、いつから器が好きなのですか」と聞かれると、「自分でもわからないのです」と答えていましたが、最近になって、「もしかしたら・・・」と思いあたることがあり、「あとがき」にほんの少しだけそのことを書きました。

子供時代の思い出というのは、ほんの一瞬に、鮮明に思い出されることがあるものですね。

言葉も同じように、ふとした瞬間に 零れ(こぼれ)落ちるように、そして鮮やかにあらわれてくることがあります。

今回の本では、器の写真とともに、そんな言葉たちを書きました。

実際に原稿を書いているのはパソコンの前なのですが、その前の段階の、「言葉がふとやってきた」瞬間にノートに走らせる、その積み重ねが一冊の本になりました。

言葉を書く作業は、ひねりまわしてできるものではなく、きっと器と同じように、「すっと自然にできたもの」がいいのだと思います。

そういう意味では、今回の本は 正直に 自分のなかから生まれた言葉を書き、自然な気持ちで撮影した写真で構成した本となりました。

巻末には、京都の村田森さんとの対談が掲載されます。

厳しく器つくりをされる森さんの、作り手としての姿勢が感じられるじっくり読んでいただけるページになりました。


本の出版記念の会を 鎌倉・なると屋+典座で行うことになりましたので、
この日記を読んでくださっている方にお知らせします。


『器、この、名もなきもの』出版記念のごはん会

 12月13日(日) 時間18時〜
 
また後日くわしくはお知らせしますね。


もし良かったら・・・ご予定いただければ嬉しいです。


○「ごはんのうつわ展 長崎・諫早」 オレンジスパイス  もうすぐ始まります。

 初めての長崎での器の展覧会です。

 11月14日(土)〜11月23日(祝月)まで。

 初日11月14日(夕方17時まで)在廊します。 たくさん器の話をいたしましょう。

 ぜひ皆様お出かけください。 お目にかかりますのを、楽しみに伺いたいと思います。

 会場で見かけたら声をかけてください。器のどんなことでもお答えしたいと思います。

 くわしくはオレンジスパイスのホームページをご覧ください。

 http://www.orange-spice.com/