TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 評論ではない、随想でもない、ただ深く器を愛するだけ。

 これは、いま、わたしの机に貼っている小さな紙にある言葉です。

 きっと、昨年の夏くらいに書いたものです。

『器、この、名もなきもの』のあとがきには、この小さな言葉をぜひ入れたいと思い、実際にそう 書きました。


 ここのところ、打ち合わせが続いていて 一日の時間があっと言う間に過ぎていきます。

 先々の展覧会や本の打ち合わせがほとんどですので

 来年や再来年の話を進めているわけですが、

 そういう先の話ばかりをしていると、

 からだとこころの両方が何かしらの違和感を覚えてくるようで、
 
 「いま」を感じることを欲するというのでしょうか・・・

 こころが「いまこの瞬間に思うこと」を味わうことを大事しなくては と、本能的に感じるようです。


 誰かと食事をして美味しいと感じたり、「会えて嬉しい」と感じたり、誰かを抱きしめてみたくなったり。

 そういう素直な気持ちにしたがって、「いま」の時間を味わなくてはつまらないな、と。
 時間の先取りは決して幸せなことではないようです・・・

 と言っても、次々へと先のことを考えなくてはいけないのですけれど。


 だからこそ、「いま」を感じる食事が大事ですね。

 旬の野菜を、その勢いを食べることで、こころも体もバランスを整えているように思います。

 今日は春きゃべつが目に留まったので、きゃべつを大きめに切って甘く煮たスープを作りました。
 
 青々したブロッコリーも入れました。

 少し苦い黒ビールを飲みました。
 
 外では冷たい風が吹いて震えて帰宅しましたが、食事を終えるころには 体もすっかり暖まりました。

 そんなふうにして 一日が過ぎていきます。

 
 
 そして最近思うのですが、NEARにいて 訪れてくださった方と器の話をすることがわたしにとって何よりも
 こころの糧となっていることを感じています。

 
 わざわざ訪ねてくださったときにお会いできないこともあると思いますが、

 もしお会いできたら ゆっくりと時間をかけて 器の話をしたいと思います。

 
 北の住まい設計社『器、この、名もなきもの』出版記念「日々を愛する器展」が札幌で行われます。

出展作家
石田誠 尾形アツシ 小野哲平 小山乃文彦 鶴見宗次
村上躍 村木雄児 村田森 横山拓也 吉田直嗣 吉岡萬理 

2010年4月2日(金)〜11日(日) GOODNEWS 札幌 北海道札幌市豊平区西岡4条4丁目2-1 tel.011-859-1220

4月3日(土) 札幌店に在廊予定です。

昨年夏以来の札幌です。 

札幌の皆さんにお会いできるのが楽しみでなりません。


NEARで行われている「村木雄児 三島の器展」 3月31日までです。 どうぞお出かけください。