樹と言葉 展が始まりました。
みなさま おはようございます。
わたしはいま、高知県高知市五台山にある「高知県立牧野植物園」のレストランで、この文章を書いています。
窓の外には小さな芝生とデッキ、木々に水やりをする植物園スタッフの方・・・
このレストランは牧野植物園正門の入り口そばのミュージアムショップの隣にあり、屋外にそのまま出られる小さなウッドデッキにはいつくかのテーブルが置かれて、朝はモーニング、昼はランチ、そしてお手製の豊富な種類のデザートが食べられるのです。
わたしも何度もここでランチを食べていますが、最近は、正門から入ることもなく職員口から入ることが多くなり、久方ぶりに、このレストランに入り、コーヒーなど飲んでいます。
今日、10月23日は、『樹と言葉展』の初日です。
この二年間ほど、準備を進めてきた展覧会です。
SHOKEN.incと高知県牧野記念財団の共催です。
「樹と言葉展」は「樹と出会う」ことをテーマに開く展覧会です。
この展覧会のために、音楽家の細野晴臣さん、シンガー・ソングライターの大貫妙子さん、小説家のいしいしんじさんさんが「樹への言葉」を書いてくださいました。
そして文筆家の松浦弥太郎さんが「少年と樹のものがたり」を書いてくださり、その展示会場には、高知県在住の版画家・松林誠さんが絵を描いてくださいました。
「樹と出会う」という抽象的でとらえどころのないテーマにずっと寄り添って、一緒にこの企画展を進めてくださったのは、植物園の本展担当者とともに、東京の出版社・エクリです。
エクリは詩人の長田弘さんと画家の日高理恵子さんの詩画集『空と樹と』の出版社です。
ある日出合ったこの『空と樹と』が、この「樹と言葉展」を企画するきっかけとなりました。『空と樹と』については、以前取材を受けたことのある「ほぼ日」の「わたしの本棚」コーナーでも紹介しました。
エクリのデザイナー・須山悠里さんは『空と樹と』を装丁された方ですが、今回、樹と言葉展の第一会場の展示構成をお願いしました。
そして、この展覧会にあわせて記念の冊子『樹と言葉』がエクリから出版されることになりました。
不思議な地図というものが、わたしたちのまわりにはあるものですね。
この出会いがなかったら、「いま」という時間はなかった・・と思える出会いが、いくつも重なって重なって、不思議なものがたりが始まります。
そんなことを考えていると、いま、携帯電話が鳴りました。
出てみると、早川ユミさんでした。
わたしは彼女の新刊『種まきびとのものつくり』という本を企画・編集を担当して、まさに先日、入稿を済ませたところですが、考えてみると、松浦弥太郎さんにお会いするきっかけとなったのは、ユミさんの初めてのエッセイ集『種まきノート』(アノニマ・スタジオ刊)なのでした。この本をお届けするために、東京・青山のベーカリーレストランで初めて、弥太郎さんとお会いしたのです。
ユミさんが弥太郎さんの文章を読んで、本をどうしてもお届けしたいということで・・・。
ものごとは「ぐるぐる」とまわるものですね。
きのうも、展示の最終の確認にいらした弥太郎さんと、そんなことを話しました。
出会いが重なり、人の思いが重なり、「ものがたり」は続いていきます。器の展覧会と同じように、どうしても伝えたいという思いに突き動かされて、わたしは仕事をしていますが、そこで出会った皆さんの多くの力をいただいて、今日の日を迎えられたことは大きな喜びです。
そして、この日記を読んでくださる方に、こんなふうに、初日の朝に、静かな気持ちで報告できることを嬉しく思います。
「高知は遠いから行けないけれど・・」という声を聞きますが、ぜひ、この機会に高知へお出かけいただければと思います。そして、一日ゆっくりと、朝の時間かに夕刻まで、
ゆっくりとゆっくりと、牧野植物園を訪ねてほしいと思います。
きっと、皆さん自身の「ものがたり」が始まると思います。
できれば、静かに、ひとりがいいです。
そして、樹というもの、植物というものと、会話をするような気持ちで一日を過ごしてください。
園内にある椅子に座って 風を感じて空を感じて、芝生に座って自分を感じて。
牧野博士はいつでも、微笑んで、訪れる方を待っていてくれます。(これは本当に、比ゆでもなんでもないのです。わたしは時間を越えて、毎回、博士に会いにこの植物園を訪ねているのです)
ずいぶん長いこと 今日は書きました。
『樹と言葉展』については、また写真を入れて 紹介しますね。
今日は夕刻から、大貫妙子さんが来園、明日、記念ライブが行われます。(チケットは完売しました)
では 今日も皆さんも 器とともに健やかに。
またゆっくりと、この展覧会についても、皆さんとお話したいです。