TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

木の器・須田二郎さんの言葉から

おはようございます。

今日から11月ですね。

鎌倉は薄曇のついたちです。季節はずれの台風が過ぎていき、
庭のデッキに夏からずっと大きくなるのを楽しみに観察していた蜘蛛の巣が破れてしまいました。

いつもだと、見つけて頭をかすめたりするとすぐに「はらって」しまうのですが、
今年は「蜘蛛」の働きに尊敬の念をいだき、彼らの巣がどこまで大きく美しくなるのかを見守ってきたのです。

お陰様で(と、表現するのも不思議な物言いですが)、我が家のまわりに大きな美しい蜘蛛の巣が出現した夏から秋でありました。

蜘蛛のような小さな生き物が生き生きと生きられる自然がある・・・と「感じられる」。そのことの持続がわたしにとってささやかな幸せです。

さて、うつわ祥見では須田二郎さんの木のうつわ展が4日めを迎えました。

ここにある木の器は、須田さんが里山の自然を守る強い気持ちで作られた器たちです。

天然酵母のパンつくりから 無農薬の小麦の畑、百姓を志したものの猿の被害で畑仕事を断念した須田さんは、
炭焼きの山が放置され荒れていくのを守る仕事のなかから木を生かした器をつくり始められたのです。

たとえば、斜めに生えている木は、家具にもならないそうで、間伐されても捨てられていく現状があるそうですが、
そういう木も引き受けて里山の、人と山の共生を考える。

木の立っている姿を知って、器を作っているのだ、と須田さんとの毎年の展覧会を見て そう思います。

自分の表現・デザインから 木の器を作るのではなく、木そのもの、その木の「個」の特質を生かした器つくりです。

この展覧会にむけて須田さんが書いてくださったメッセージがあります。

原文のまま ご紹介します。




祥見さんの展示会へいらしていただき ありがとうございました。
今年は個展が今回をふくめて5回有り非常に忙しかったです。お客様のおかげで最終回の
祥見さんまでたどり着くことが出来ました。

木のうつわを作り始めた時は、誰にもまったく相手にされず、
まさに孤軍奮闘、森の事も そんな話し 誰も聞かないよ!!と馬鹿にされたものです。

ここの所 時代が追い付いて来た。との思いを強くしています。

出版社の方も森のことを大切に思い作品を作っている。と言う切り口で取り上げてくれる様になりました。

うつわ作りを愛する作家の方達とは 物作りに対するスタンスがまるでちがう自分と自分の作品を
受け入れてくださった、ギャラリーさん達とお客様へ「ありがとう」 感謝しています。

           2010年10月29日 須田二郎



須田二郎木のうつわ展は11月5日まで。会期中は無休です。

木というものが、どれだけ わたしたちを支えていてくれているのか、を私は改めて感じました。

またこのことは、どこかに文章として書くつもりです。

ぜひ、この機会に須田さんのお仕事をご覧ください。