TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 樹と言葉展から生まれたもの・

こんにちは。

おととい朝一便で高知入りし、一泊して鎌倉へ戻りました。

牧野植物園で行われている「樹と言葉展」の週末のイベント、日曜日には冷たい雨も降り、寒さのなかで行われましたが、

とても素晴らしい時間となりました。

初日は曇り空でしたが、午後からは晴れて青空も見えた高知。

植物園の会場スペースには、京都の恵文社のブックカフェもお見えし、
美味しい高知の食のお店が出店したデッキも多くの方が訪れて賑わいました。

朝の時間でかなり冊数が出てしまったらしく、わたしが会場に着いたときにはすでに残り少なくなっていました。

恵文社一乗寺店の堀部さんとはゆっくり話をされる方もいて、恵文社の新しい本やオリジナルのバックなども人気だったようです。

うつわ祥見では、来年11月にまた恵文社のギャラリーで器の展覧会もさせていただくので、そんな打合せもしたり・・・。

何か新しいことがまた始まっていくような、そんな気持ちでおりました。

一冊わたしも欲しい、樹にまつわる本があったのですが、そこは器と同じで訪れた方の手に・・と思い、「我慢我慢」。

そして、夕刻、堀部さんを見送り、そのあと、高知市内のギャラリー「花と器 SUMI」へ。

ここでは現在、高知在住の版画家で、「樹と言葉展」の第二会場でアートワークをしてくださった松林誠さんの個展が
行われているのです。

「樹と言葉展」がきっかけとなって急きょ行われることになった展覧会で、

誠さんの絵の、素朴で力強く、あたたかな作品が会場にたくさん。

身近なアート、人を幸せにする仕事だなぁ。。絵を描くってこんなに自由でいいんだなぁと感じさせる作品に出会うことができました。

こちらは正真正銘の「来場者」のわたしは、一枚の版画を求めることができて、大満足でした。

嬉しくて写真を撮り忘れたのだけが残念です。

そして夜には松浦弥太郎さん、誠さんご夫婦、東京からこの展覧会のために来てくれた友人のKさんとわたしで、
「花と器 SUMI」のオーナーのヨウコさんのお宅へお伺い、美味しい手料理を存分にいただき、楽しい時間を過ごしました。

皆でくつろいでいるとヨウコさんの夫で造園家・大工・ギタリストの「秀樹さん」がお帰りになり、
弥太郎さんと秀樹さんとのギターのデュオも演奏。

なにせ、秀樹さんは、第二会場のなかの「小屋」を作ってくださった方で、前回もこのメンバーで意気投合していたのです。

わたしはいつものことですが、

不思議なめぐり合わせを思っていました。

なぜなら、秀樹さんとわたしの初対面は、小野哲平さんの家の「屋根」に登って煙突の修理をされている時だったから。

もう6年前ほど前になるのだろう・・と思うのですが、それから秀樹さんとは何度かお会いしているのですが、そのときの印象が本当に強いんですね。

そして、秀樹さんは、樹と言葉展の記念ライブを行った大貫妙子さんとともに会場を沸かせたギタリストの小倉博和さんの大ファンで、
高知市内で小倉さんが行った際のイベントでも一番前でご覧になっていたという・・・そして私は今回の高知入りの前の夜に、突然訪ねていらした小倉さんとご飯を食べていた・・という・・・・そして、小倉さんの曲を実際に目の前で弾く秀樹さんがそこにいるという・・・考えてみると、「樹と言葉展」の第二会場にかかわったひとの名前には、「松」がふたり、「林」がふたり、「樹」がひとり(植物園の担当者は岡林さん)・・・全員が木にかかわる名前をもっているという・・・。

最後のは少しこじつけではありますが、

いつもながら、ぐるぐると、つながりが生まれていく・・という不思議さと愉しさに包まれた、とてもよい夜でした。


そんな夜のあけた翌日のイベントの様子です。

写真で紹介します。

松林誠さんのワークショップ「樹と出会う写生会」。
参加された皆さんの絵を見て、ひとりひとりと丁寧に話をされる誠さん。

わたしも中庭の一本の樹をスケッチしてみたのですが、
樹を見つめて描くことがこんなに心静かに、楽しいことだと思いもよらず、
本当に新しい発見をしました。

誰かに見せるとか、褒められるとか、評価されることなどなく、
自由に描くということ、しかも、枝を揺らす木と会話するように「描く」ということ、本当に楽しかったのです。


会場の「階段広場」から見える高知市内の風景です。

トークイベントが行われる午後の時間には雨も止んで、遠い山々のラインも美しく見え始めたのです。

会場はたくさんの皆さんにお出かけいただいて、お二人の話に引き寄せられて。

松浦さんも松林さんも お互いの目を見て話される。それがとてもさわやかで、清々しく、そして温かく。

弥太郎さんは今回の展示で、初めて「ものがたり」に挑戦されたわけですが、その過程の話を熱心にされたんですね。

そして、自分がどんなときにも逃げずに、朗らかに、ちゃんと向き合って、困難も乗り越えていくという仕事への取り組み方、それが松浦弥太郎という人の信条なんだろうなと思うのですが、その核にある大切なものを、惜しげもなく、話してくださったように思います。

こういう場ではわたしも書くことはできなかったけれど、「樹と言葉展」の展示には、それぞれの「ものがたり」があるわけで、

弥太郎さんとのやりとりも、今こうして思い出してみると、本当に真剣そのもので、幾つもの山を一緒に登ってきたような気がしますし、
よく辛抱強くやり遂げてくださったと思います。

そして、松林さんの純粋な言葉にも、何度も、会場から頷いたり、ほほ笑んだり。

夏の間、毎日のように会場に通って仕上げてくれたアートワークの話なども、さまざまにエピソードをまじえて話してくださいました。

チームとして会場づくりをしてきた仲間みなと一緒に、おふたりの話を聞くことができて、わたしもとても嬉しかったのです。

おふたりには感謝の気持ちでいっぱいです。

帰りには、お出かけいただいた皆さん 一人ひとりと握手をされ、サプライズのお土産を手渡されました。

お土産は松林さんの絵の袋に、中身は、弥太郎さんが小さな石に描かれた笑顔。

これは弥太郎さんから「こんなものを作りました」というメールで送られてきた写真です。

当日まではサプライズで公開してはいけないということでしたが、もういいでしょう・・

そのメールには

「おみやげは笑顔ということでいいですよね」と書かれていました。

この日記を読んでくださっている方へもおすそわけです。


さて、今日はのんびりとしているようで これから もうすぐ渋谷へ向かいます。

NHKラジオへの生出演がこれからあるのです。

18時30分くらいから15分くらいだそうです。

ではでは、今日はこのあたりで。

皆さんも笑顔で、一日 お過ごしください。