TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

TEPPEI TABERU KAMAKURA

こんばんわ。

昼間の真夏のような猛烈な暑さが落ち着いてきた鎌倉の夜です。

ちょうど一週間前になる9月3日 土曜日。

小野哲平展がNEARで始まりました。

今回の展示は、鎌倉のご縁のある店で、それぞれのテーマによって土の器を展示する 新しい試みの展覧会です。

初日には、台風の影響も心配されましたが、お陰さまで、天候にも恵まれて、大変多くの皆さんにお出かけいただくことができました。

皆様、ありがとうございます。

初日と二日目に小野哲平さんが在廊され、初日の夜には、なると屋+典座で オープニングが行なわれました。

今回は遠方からお出かけいただく方が特に多いのですが、

それでも、実際に鎌倉までいらっしゃるのは大変なこと・・・。

「行きたいけれど、行けないので、雰囲気を少しでも知りたい」と思ってくださっている方が多いのでは・・と想像しています。

「TEPPEI TABERU KAMAKURA」の様子、写真で紹介しますね。

まずは、食堂COBAKABAです。

鎌倉駅そばに宿泊された哲平さんと一緒に朝食を食べに行きました。ずいぶん遅めの朝食だったので、最後のお客さんが帰ったくらいで店内は貸切でしてが、いつもは店の前に並ぶ方が多いのですよ。

「おいしそう」。運ばれてきた朝食のメニューににっこり。目玉焼きの朝食セットに 哲平さんは冷奴、私は納豆を選びました。納豆、少し分けて差し上げました。ふたりはともに「納豆好き」です。 とても美味しかったです。

ここでは、毎日14:00からはTEPPEI time。
小野哲平の器で食べる高知の香りを感じる月替わりのメニューをいただけます。

続いて、コバカバ食堂の隣の隣、鎌倉野菜市場内にある、パラダイスアレイ。


天然酵母のパンが本当に美味しいのです。

ここは、さりげなく、土の器をショーケースに入れて、展示・・というか使っていただいてます。

このパンと、土の器の組み合わせ、私はかなり「じーん」と来るものがありました。

どうしてでしょうね。

見事に引き立てあっているというのかしら。

たぶん、普通のパン?をただ置いても、こうはサマにならないと思うんですね。

薪窯焼成された土の器、小野哲平といううつわびとの作る、素朴で美しい土の器が、パラダイスアレイのパンと見事に「発酵」しあっているのです。

「まるで、ずっと、そこにあったように」。

ああ、いいなぁ・・・と思います。

器がギャラリーを飛び出して、街のいたるところに自然とある・・・私の理想です。



最後は、チャハット鎌倉店。

ここでは、「旅の記憶」をテーマに、筒湯呑みとポットを展示しています。

哲平さんと早川ユミさんがこの夏に旅されたアジアの旅の写真も店内にさり気なく展示。この感じが、また、とてもよいのです。

横須賀線が目の前を走るロケーションも、チャハットのふだん置いてあるバックや服も、アジアがいっぱいの空気感が、なんとも心地よいのです。

土だなぁ・・・安心するなぁ・・・と、のんびりと一日したくなるような・・・不思議な気持ちにさせてくれました。





最後に、初日、オープニングイベントで、パラダイスアレイのジュンベイ君が特別に作ってくれた「小野哲平天然酵母パン」。


会の最後に、サプライズで、哲平さんに見せると、とても喜んでくれました。

ここに「生きる」の文字。見えるでしょうか・・・。

私も胸がいっぱいになりました。

出席した皆さんが思い思いにちぎって持ち帰る、ちよっとした美味しいおみやげとなりました。

TEPPEI TABERU KAMAKURA  ですからね。

皆さんで食べていただきました。

ふう。

ここまで書いて、日付が変わり、9月11日となりました。

ここで、3.11の震災のあと、落ち込む私を心配して、小野哲平さんがくださったメールを一部 紹介したいと思います。

このメールは、関東に物資が不足して、食料や乾電池などが手にはいらない時期に、送られたもの・・・です。


タイトルは「いまこそ、土人の 力だ」です。


いまこそ、土ひとの 力だ


さっき、ぶんたん と 救援物資 を一箱ずつ

送りました。 各地から関東への荷物が大変多く

また、到着の約束はできないそうですが だいじょうぶ

たのしみに 待っててください。

ぼくたちは、とても愚かなので 何度も同じことを

繰りかえし 大きな犠牲と代償をはらって やっと

少しだけ 気がつくのです。  必要なかったって。

そういう ことに このことを しなければ 未来は

ないのです。 後になって そう言える ぼくたちで

ありますように。  

子供たちにはよろこびに満ちた光ある世界が待ってるはずです。

納豆とごはんで おいしいよね。

ほんとはね。      てっぺい   


その数日後、こんなに大きなダンボールがあるだろうか・・・という大きな箱に、トイレットペーパーや乾電池、そして、信じられないほどの大量の納豆(高知県産)と、美味しい文旦が1箱、無事に届きました。


人と人のつながり。決して、優しさに甘えるばかりではいけないのです。でも、心から、人を信じたいと思うなら、わたしは言葉ではなく生き方で、伝えられるものがあると信じています。哲平さんにとってはそれが器であり、私にとっては、その器を伝えることです。

いま、自然が、わたしたち人間に突きつけているものは何か。

人がもっと謙虚に、生きていくには 何が必要なのでしょうか。

経済活動、食料問題・・・・なかなか答えは見つかりません。

しかし、私は愚鈍あろうと、人を信じようと思いますし、信じていいと思っています。

土の器で、土から生まれたものを「いただく」。器は食べる道具。生きていくために必要な道具。

そんな器だからこそ、いま、この時代に、必要なのです。

作り手の「手」を信じていいと 私は皆さんに伝えたい。小野哲平という作り手の手を信じて、と伝えたいと思います。


哲平さんがおっしゃるように、

この、いまおきていることが、これからの未来にとって、
気づき、立ち止まり、もう一度世界を作るチャンスとなるように・・・と願っています。

土の器にできること、まだまだこれからだと思います。

いまは、つながり、つながり、土とともに生きていく力を、蓄えていきたいと思います。

小野哲平展。鎌倉で土の器をぜひ手に包んで ご覧ください。

薪窯焼成の、力強く、素朴な土の器を、感じてください。