TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 一年間 ありがとうございました。

こんばんわ。

あろうことか、12月の日記更新が大晦日になってしまいました。

一年前のこの日、やっぱり、私はこの「日記」を書いていたんだなぁと思い出します。

プログ上で、「一年間を振り返る」ということを思いつき、言い出した自分をはんぶん恨みながら、二日にわたって
写真入りで一年間の展覧会をまとめる作業を、晦日と大晦日に行っていたのです。

あれから一年になるのですね・・・。


2011年、あまりにも大きな、大変な年でありました。日本人にとって忘れることができない年となりました。

そして多くのことを学び、知り、通わせ、こころ深くに蓄えた一年であったと思います。

それぞれの個人が、突きつけられた現実のなかで
生きるとは何かを 考えさせられたのではないでしょうか。

私にとっては、それは、器とは何か、ということでありました。

器とは食べる道具である。

この信じることを、より明確に伝えるために、何が必要なのか。器に何ができるのか。

「器」というもの可能性について、あるいは「希望」について

走り続けるスケジュールのなかで、考えた一年となりました。


そんななかで、何よりも、嬉しかったのは、
器を通じて出会った皆さんとのつながりでした。

昨年から始めた「ツイッター」140字の世界がその「つながり」を強くしてくれました。

これは本当に驚くべきことです。

住んでいる地域も性別も、おそらく年齢も、関係なく、器を愛する心で、つながっていく人と人。人、人・・・。

これまでも、器は度々ブームになってきました。
古くは・・・と辿れば、茶の湯が流行った桃山の世、少しばかり遠い昔です。もう美術史の世界ですね。

新しいところでは民藝運動かもしれませんし、もっと近々では・・・と言えなくもありません。

しかし、あえて言えば、現在、うつわ祥見のまわりで生まれてきている「器を愛する方々のつながり」は
ほかのどの「かたち」でもない、つながりであるような気がしています。

器との出会いを喜び、生きて食べて その道具である器と心から付き合って、
育て、ともに生きている喜びを知る方同士の つながり といいましょうか。

そして、私の知る限り、その皆さんは、めっぽう明るく、寛容で、穏やかなのです。

私は夢を見ます。

いつか、その、各地に住む「器を愛する皆さん」が集まるようなことができないか、と。

器の同窓会を開き、皆さんが育てて愛する器が集まるような会を開きたいと、思っています。



そんなことを考えていましたら、

来年2月に長崎・諫早 オレンジスパイスで行う「冬のどんぶり展」のDMが届きました。

来年は、ずっと、気になりながら取り組むことが後回しになっていた「どんぶり」という器を
作り手の皆さんとともに 伝えようと、「どんぶり展」を企画しているのです。

長崎がその第一弾となります。

DMに添えた言葉は

「こころにやさしく、手に優しく。

 チャーミングで、あたたかい。

 食べたくなる、この器たち。」

DMからも 弾むような楽しさが伝わってきます。

その束の一番先頭に 「この手に付いていきます」と手書きでメッセージがありました。

これには、思わず笑って、ちょぴり、泣きたくなりました。

「手」とは、11月にオレンジスパイスで行われた展覧会「TABERU」の初日 器を愛する話し会で
 夢中になって話している「私の手」なのでした。


「器を愛する」その一心で始めたうつわ祥見は
来年で10年の記念の年を迎えます。

プライベートギャラリーは今年でいったん役目を終えて、クローズとなり、
これからは、全国各地での器展、そして鎌倉・御成通りの「onariNEAR」での展覧会で器を伝えていきます。

10年を記念して、ホームページを少しだけリニューアルしました。

トップページは石田誠さんの南蛮焼締のめし碗です。

使われて育ち、ますます美しくなる器です。

この小さな器のよさを、心からの言葉で、伝えていきたいと思います。

「器を愛することは日々を愛すること」。

器とともにある日々に。 皆さんとともに、朗らかに、器を愛することでつながっていきたいと願っています。

「onariNEAR」の展覧会、そして各地で行う展覧会を ホームページでお知らせしました。

ぜひ鎌倉へ、そして、お近くの会場へ

器に会いにいらしてください。

この一年、うつわ祥見を支えて下さった皆さまに 深くお礼申し上げます。

本当にどうもありがとうございました。

皆さまにとって、新しい年が 幸せに満ちた日々でありますように。

希望の日が 訪れますように。

よい年をお迎えください。

2011年12月31日 

祥見知生