うつわとともに。祥見知生のブログです。

幸せの、うつわ沼


おはようございます。

鎌倉は晴天です。

このところ、寒さがいちだんと応えますね。

風邪をひかれている方も多いようです。どうぞ気をつけてください。

私はどういうわけか、めったに体調を崩すことがありませんが、
多くの皆さんに「身体だけは大事にしてください」と気遣いの言葉をいただきます。
たぶん、器の展覧会や、その他の本の仕事、音楽ライブの仕事などの見ていて「過労」を心配してくださって、言葉をかけてくださっているのです。有難いことです。



最近、私のまわりには、器のギャラリーを始めたいという方が増えていらっしゃいます。

熱心に器や作り手のことを勉強(?)され、遠方から鎌倉の展覧会へ足を運ばれている方もいらっしゃいます。
開業までの心のあり方をお手紙にして送ってくださる若い男性などの活動は、見ていて、とても頼もしく思っています。

なんでも、始まりには「強い志」があるものです。

それはとても純粋で、穢れがなく、尊いものです。

しかし、悲しいことに、その美しさや強さは、だんだん 磨耗して古びていくことが多々ありますね。

しかし、自分自身の感情なんですね、きっと、それも。

立派な信念よりも、わたしは個人の「感情」というものが、
きっと役立つのではないかと、うっすら思っています。


感情、いわば、ときめき、です。
ときめきは、冷静ではありません。計算もできません。
だから、「仕掛ける」こともできません。
持続させるための「マニュアル」もありません。

でも、感情というのは、毎日、わたしたちが「感じられる」リアルなもので、
自分自身の体調を整えていれば、リアルに「ときめき」は毎日生まれるものです。

どんな仕事でもそう言い当てることができると思いますが、この、器を伝える仕事は一筋縄ではいかないことも多いです。

しかし、私自身、器を伝えたい、と思った最初の「ときめき」こそが、
出発点であったことを忘れずに「何を求めていたのか」を忘れないでいたいと、そう思っています。

立ち戻れる場所は そこしかないのです。

日本各地に、器を伝えるギャラリーが増えたらいいな。

私もときめきを楽しみに出かけていきたいです。



去年は震災後精神的に辛いばかりの年でしたが、器を通じて出会った皆さんとお話させていただく機会や、ツイッター上での言葉のやりとりには、本当に励まされました。

なかでも、長崎・諫早オレンジスパイスでの「TABERU」展へお出かけくださった福岡からいらしたご夫婦とは色々な話をさせていただきました。

印象に残っているのは、同じように器のことを話せる友人が少ないので、ある知り合いに、めし碗をプレゼントしたいというお話です。

そこで、どれが選ぶのかを、一緒に考えさせていただきました。

いろいろ丁寧に選ばれていき、最後に残ったのは、石田誠さんの南蛮焼締のめし碗でした。

そのめし碗が本当に素晴らしいものでして、またさらに悩みが増えたのですね。

よい器すぎて、自分のものにしたい・・・という正直な気持と、よい器だからこそこの世界を知っていただくために手渡したい、使ってもらいたい・・・という葛藤です。

そして、この世界を、その方は「うつわ沼」と表現されたのです。

うつわ沼・・・ 器を愛する皆さんなら、ここで、深く頷いてくださるのではないでしょうか。

湖でも海でもなく、沼なんですね。この、器の世界は。

一度入るとなかなか抜けられず、どんどん深みにはまっていく。

でも、その方はおっしゃったんです。明るい声で「でも、幸せです」と。

その笑顔がとても嬉しかったです。

以前に、たぶん2009年のころでしょうか・・

展覧会の初日に、突然「ショウケンさん、私、重い病気にかかったんです」とある女性に真剣な表情で告白されたことがありました。

私は一瞬言葉をうしないましたが、

最後に「でも幸せな病気なんです」という「オチ」を聞いて、安心し、

「その病気なら、私は子供の頃からかかって、現在も完治しておりません」と笑いあったものです。

うつわ沼、うつわ病。

うん、うん、うん。

続きはまた書く機会があると思いますが、器は幸せを、ときめきを、運んできてくれます。

最高の友人に出会う沼であり、病です。

よい器は決して裏切らないですから。そして、明日を生きる希望になってもくれるほどの愛しいものです(このあたりが病???)

あの時選んでくださっためし碗は、その後、きっと、ご友人の手によって育てられていることと思います。

その後のお話もまたお聞かせいただけたらと思います。


さて、今日は夕刻から、吉岡萬理さんの展覧会の搬入があります。

奈良から萬理さんがいらっしゃいます。

今年はどんな器が大勢やってきてくれるでしょうか。

とても楽しみです。
にぎやかに、朗らかに、
そして、たくさんの「福」を持って、萬理さんがやってこられます。

初日14日と15日は両日、吉岡萬理さんが在廊します。

ぜひ皆さま、お出かけください。

心が弾み、何か、新しいことが始まるかもしれません。

新作の長石釉の器も静かでとても品があり、美しいです。

ご覧ください。


onari NEAR 吉岡萬理展
2012年1月14日(土)〜1月23日(月)
会期中1月17日(火)休
14日は夕方から 「HAPPY NEW UTSUWA」 うつわ祥見の新年会を行います。
奈良からいらっしゃる吉岡萬理さんを囲んで、一緒に集いませんか。
去年雑誌『サライ』取材で私が案内した鎌倉の料理店で この季節絶品の牡蠣フライをご一緒に・・・と思っています。
18時から20時。 ぜひご参加ください。
   

3月1日細野晴臣 鎌倉ライブについて 特設サイトを作りました。
こちらもぜひ、ご覧ください。

http://hosonokamakura.com


細野さんのライブについては、また近々、くわしく、この日記でも書きます。

2月に向けて、いろいろ新しいお知らせをしています。

うつわ祥見のホームページ よかったら、のぞいてみてください。

では今日も一日、お元気で。

明るいうつわ沼にひたりながら、笑っていたいと思います。