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うつわとともに。祥見知生のブログです。

 器はやっぱり素晴らしい

関東地方は、今夜、大きな揺れを感じる地震がありました。

ちょうど夕食を終えて、くつろいでいる時間帯です。
千葉や茨城で震度5を記録した大きな揺れ、鎌倉では、天井から吊られた照明器具が大きく長く揺れました。

地震の多いこの日本で、原発がまだ止められない、再稼動しようとする人の気がしれません。

一日も早く、廃炉に向かって、歩を進めなくてはなりません。

さて・・・

それにしても、私にとって、今日はいい一日でした。

なぜなら、昼間に訪ねてきてくれた作り手の方と、存分に、器の話ができたからです。

皆さんが思っている以上に、私は器の話をしたいのです。
でもね、熱くなりすぎてしまってはいけないと、これでも、遠慮しているのです。

しかし、今日は、昼間に訪ねてきてくれた器の作り手の方と、
定休日のNEARのテーブルに、向かい合い座り、
その方の作っためし碗を手に包みながら、もう思う存分、器の話をしたのです。

その話は、最初から最後まで、器の話、まさに、器の話でありました。

もうこれ以上ないほど、嬉しかったです。

わたしはこう、日記に記したい。

器はやっぱり素晴らしい。

ちゃんと、器の魂? 精神は つながっていくのですから。

器はなんて素晴らしいのでしょう。

先人たちの仕事に、土そのものに、決して裏切らない、という仕事をしていく。

明日はもっとよい器が作れますように、と。
明日もあさっても、轆轤に向かう人間が、器という人が食べて生きていく道具を 作っていくのです。

器はやっぱり、素晴らしい。

青木亮さんがかつて、現代美術の世界から器の作り手となったとき、
最初は「器くらいすぐ作れるだろう」と考えていたそうですが、
その甘さに愕然としたそうです。私は直接そのお話を何度も伺ったことがあります。

そして、青木さんは瀬戸の陶磁資料館で、たった一つの茶碗に出会い、
衝撃を受け、その後、やきものに没頭していくのです。

その衝撃を受けたというのは、もちろん器そのものとの出会いなのですが、
その茶碗を作った「作り手」の仕事に感動したと同時に、
器の核とも言うべき、その作り手がかつて感動した「精神」に触れた瞬間でもあるのではないか、と思うのです。

ややこしいですね。

このことは、いずれ、本に書く機会があれば 書きたいと思うことなのですが、

簡単にここに記すならば、器(うつわ)というものへの「尊敬」や「感動」が、
時を超え、時をつなぎ、受け継がれ、作り手に器を作らせている、のではないか、ということなのです。

「尊敬」や「感動」とは、心を揺すぶられたという衝撃、と言い換えてもよいかもしれませんね。

そういうことが、いまも、起こっている。

「器のこころ」「器の魂」「器の精神」・・・なんて呼んでもいい、そういう目には見えないけれど確かにそこにあるものが、ちゃんと、運ばれている・・・受け継がれていく・・・その「目には見えないけれど確かにあるもの」を受け取り、自らが受けた感動の正体に向かって、仕事をしていく。その感じたものへの信頼が、厳しく、器を作るという仕事へ、作り手を向かわせていく。

正直、そうした仕事が、「重く」感じられることがあるかもしれません。近代以降、土や釉薬を手に入れることが簡単になり、焼成の方法もテクノロジーの発展により、器つくりの簡略化が進みました。それは決して、一言で、「それではいけない、自分で土を堀り、薪窯焼成しなくてはよい器は生まれない」ということではありません。私が危機感を強めるのは、器が土に寄り添うことなく、むしろ、土を感じさせず、軽やかで気の利いたデザイン重視の器がもてはやされたり、質感にばかりとらわれ中途半端な「やきもの」が器としてまかり通る風潮がいまもあることです。

けれど、私は信じられるのです。

今日、見せていただいた器を通じて、改めて 器を信じよう・・・と感じたのです。

そのめし碗はとても静かでやわらかく、美しかったのです。

まだ発展途上であるけれど、素晴らしく、透明な、美しい存在として、私のこころに響くものでした。


私は、もっとよい器と出会いたい。そして、もっと器を好きでいたいと 思います。


そして、器を伝える人間として、現代の作り手とともに、
器を、この世界に「生み出し」残したい、と願います。

誰かに認められなくてもいいのです、器は器であればいいのです。
けれど、それらの器は、ごまかしのない方法で生み出された先人たちにも誇れる器でありたいと願います。

人の手に包まれる器のもっとも気高いものを、さり気なく、手渡す・・

うつわ祥見のすべての展覧会はそういう場でありたいと思います。

明日は夕刻から、吉田直嗣さんの器展の搬入です。

きっと、よい器が届くでしょう。



吉田直嗣 LIFE展 
2012年3月16日(金)〜3月26日(月) 
12:00〜18:00 会期中休 3月20日(火)
作家在廊日 3月16日(金) 17日(土)


吉田さんの器については、4月に札幌で行う北の住まい設計社のHPに、文章を書きました。

ご一読いただければと思います。

札幌では吉田さんとふたりで トークイベント(この言い方、もっと別な言い方があればいいのですが)を行います。

くわしくは、北の住まい設計社のHPをご覧ください。

http://www.kitanosumaisekkeisha.com/shop/event/yoshida.shtml

器の作り手の方の話を直接聴くよい機会です。

ぜひご参加ください。