TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

骨壺展によせて 皆様へ

皆様、お久しぶりです。

なんて「お久しぶり」なのでしょう。

大変ご無沙汰をしておりました。

本当にここに戻ってくるまでに長い時間がかかりました。

もちろん、これまでの間、変わらず仕事をしていました。

ここに書き記すことがなかった多くの時間、展覧会を通じて、あるいはそのほかの機会を通じて、

多くの皆さんと実際にお会いし、たくさんの言葉をかわしました。

その時間の積み重ねがあって、いまのわたしがあります。

いつもそのことに感謝しています。

いつも本当にどうもありがとうございます。


さて、今日は3月15日。

時計が0時を回って、日付が変わったばかりです。

本当はこの日記を再開するにあたって、皆さんにお伝えしたいことがあったのですが、
今夜はそのことを書く時間はあまりないようです。

さきほど、ツイッターにもつぶやいたのですが、

明朝出かける高知行の荷物がまだこの時間でできていないのです。

これから準備をいたします。

でも、今日のうちにこの日記を書きたい理由があり、少し急いで書き綴ってみます。

というのも、あさって初日を迎える「慈しみの器 愛しき骨壺展」について、

ホームページよりももっと多くの言葉で、この展覧会について お伝えしたいと思ったのです。


少し長くなりますが、ぜひ読んでみてください。




食べる道具である器を伝える仕事を始めてから、明日をもっと、いきいきと生きていくために、骨壷展を開きたいと、願ってきました。

なぜ骨壷なのか、の問いに答えるならば、限られた生の時間をより愛するために、
死を、受け容れ、遠ざけることなく、できるだけ朗らかにありたいと願うゆえ・・となりましょうか。

骨壷を「うつわ」として考えることは、そもそも「うつわ」とは何かを考えることと同じ延長線上にあります。

うつわとしての骨壷、それは生きて使う器とは何かを追求していくことの「地つながり」であると思っています。

わたしが伝えたい「骨壷展」のテーマは、「生と死は一体であること」を、器というものから語りかけることです。
死者のための「骨壷」から、生きて故人を偲ぶこころに寄り添い、より生きていく者の「うつわ」へ。

残された者に必要なものとして、眼を向ける相手を変えてみると、はっきりと今回の骨壷展の展覧会名に掲げた「慈しむ」という言葉の意味がさらに重層的に感じられます。

展覧会は「求められている」から行うものですが、しかしそれは「流行」の類のものではありません。

「求められている」のは未来永劫普遍的なテーマであることが必要です。

そしてどのテーマであろうと、根底には、人が明日を生きていくために、力となるもの、はげましとなるものでありたいと願っています。

骨壷は、慈しみの器です。そしてそれは「生きる」ことを最大限に肯定し、死を受け容れて、包みぬく優しさに満ちたものであってほしいと願います。

そしてこの展覧会は「骨壷の見本市」などではなく、「人の一生とはこうであってほしい」と願う気持ちを素直にあらわした自由なものであるべきだと考えます。

毎日、手に包む器があるように、自ら美しいと思う、愛しいと思う器と、ともにありたい。

生きることを慈しむからこそ、最期に包まれる器を、納得のいくもの、信頼のできるものを選びたいと願うのです。

慈しみの器。愛しさを包むもの、骨壷。

この困難な時代をともに生きている、うつわの作り手による骨壷展を開き、普遍の主題を朗らかに、作り手、使い手の多くの皆さんと、ともに考える機会になればと願います。

このたびは、ご縁をいただいた高知県五台山にある竹林寺での展示をいたします。

その後、週を変えて、鎌倉御成町の onariNEARでも 展示いたします。

onariNEAR 2013年3月24日(日)〜3月31日(月)会期中休3月26日(火)27日(水)

ぜひお出かけになり、ご覧ください。

心よりお願い申しげます。




「慈しみの器 愛しき骨壺展」

会期 2013年3月16日(土)〜3月20日(水)
会場 高知 五台山 竹林寺 高知県高知市五台山3577 
時間10時〜16時 
問い合わせ 五台山竹林寺 088-882-3085
企画 うつわ祥見 http://utsuwa-shoken.com



出展作家
石田 誠 (松山) 尾形アツシ (奈良) 小野哲平 (高知) 山野邊孝 (福島)
小山乃文彦 (常滑) 升 たか (神奈川) 森岡由利子 (和歌山)
吉岡萬理 (奈良) 矢尾板克則 (新潟) 


関連イベント/ 
2013年3月16日 「こつつぼの話」
竹林寺・海老塚和秀住職と作家・いしいしんじさんのトークイベント
16:30 スタート 参加費1000円 予約不要 
問い合わせ 五台山竹林寺 088-882-3085


巡回展 
会期
2013年3月24日(日)〜3月31日(日)    
営業時間12:00〜18:00
場所
utsuwa-shoken onari NEAR
神奈川県鎌倉市御成町5-28 TEL:0467-81-3504