今年も一年有り難うございました。
皆様、こんにちは。
クリスマスも終わり、いよいよ年の瀬が近づいて参りました。
皆様にとって、今年はどんな年でしたでしょう。
今年も大変お世話になりました。
うつわ祥見が企画する展覧会にお出かけいただいた皆様に心より感謝しています。
今年も印象深い展覧会が数々ございました。支えてくださる皆様のお陰で無事終えることが出来ました。
本当にどうもありがとうございました。
さて、私ごとですが、今月始めに足に怪我をいたしまして、
少し不自由な身体で年の瀬を迎えることになってしまいました。
この数年休みもなく動いておりましたので、
少し長めの「強制命令の休暇」をいただいたような気持ちで
明るく、大好物のみかんを食べながら呑気に過ごしております。
しかしながら、人間って、飽きるものですね。
はじめのうちは何もかも物珍しく、何事も前向き前向き、すべて自分の都合のよいように考えて、
これは神様のくださった休暇に違いない、と気楽に思っていたのですけれど、
だんだんこの状況に「飽きて」きてしまいました。
それで家族の者に「この自分に飽きてきた」とメールでこぼしましたら、
すぐに返信がありました。
「仕方ないね」と一行。
この「仕方ないね」が、実はとても胸に染みました。
いまの私にとって「仕方ない」はいたって潔く、見事に的確、公平な受容の言葉でした。
慰められ、諦められ・・・。
弱音も愚痴も、甘さも、スコーンと気持ちよく軽やかに、見事にどこかへ飛んでいってくれました。
さて、話題をかえて。
最近、つくづく思いますのは人の役割についてです。
「役割」。人はよく生まれてきた意味を考えるものですが、
そういう大切なことは考えてわかるものではなく、考えていることそのものに「意味」があり、
考え続けていくことこそに意味がある、と。
ヒントは「続けていく」ことなのでは、と。そう思うようになりました。
よく言われることですが、何事も継続こそに意味があるのです。
「継続」が意味を作っているとしたら、その続けていることこそ「役割」なのかもしれませんよね。
こんな人生は自分のものではない、もっと大切な役割があるはずだ、と世の中には憂いている方がいらっしゃいます。しかし「昨日したこと」と「今日していること」と「明日しているだろうこと」が繫がっていくと、つまり、続けていくことで他人にもそう見えるものが、人の「役割」なのではないでしょうか。立場と置き換えてもいいかもしれません。
どんな達人でも、人は幾通りもの人生は生きられません。
そしてひとりでは生活もできません。
自給自足。素敵な言葉ですが、そう万能ではありません。
わたしは最近日本酒を多少は呑めるようになり、
酒器のなかでも、ぐい呑みがいよいよ愛しく、その器でお酒を呑むたびに芳醇な味と香りにうっとりし、
なんて喜ばしいのだろうと思うのですが、
そもそもこの酒が出来上がるまでの蔵人の仕事や歴史をひとたび考え出すと、
その有り難さに気が遠くなる思いがします。
お酒はそれほどいただけない私でしたが、料理にはずっと純米酒を使っていました。
どんな料理にもコクと深みを与えてくれるので、毎回その仕事ぶりに惚れ惚れするのですが、酒も塩も砂糖も(うちには砂糖というものはないんですけれども)、鰹節も醤油も、なにもかも、その道のプロという方がいて、つまり、この仕事に関わり、毎日くる日もくる日も、このことを考え、身体を動かし、作っている方々がいらして、わたしの食卓は成り立っているのだなぁ・・と思いますと、本当に頭が下がります。感謝と賞賛を歌い上げる、食卓のミュージカルができそうです。
そしてここでも思いますのは、色々なその道のプロという方がいて、世の中は成り立っているのだということです。そのことは私にとっては相変わらず希望を与えてくれるのです。
同じ仕事を続けていますと、新鮮さが薄れてくることがあります。
いわゆるマンネリというものです。同じことの繰り返しや、あるいは何かを保ために守りに入ったが最後、志も、ときめきも、なぜそのことを始めたのかの「輝きのもと」も失われてしまいます。それでは続けていくことの意味も見失いそうです。
それでは誠に意味喪失であり、まったくもって、面白くありません。
だからこそ、身近に、志の高いものをそばに置き、たとえば今の流れで言えばお酒や塩ひとつ、または本や音楽、家具にいたるまで、尊敬する仕事を感じながら精神のよりどころを確保しておきたいのです。キーワードは続けていくこと、これぞ持続するエネルギーです。
先日もある番組で、天然塩を造られている家業の方が焚き上げる薪ひとつにも手を抜かず、守り続けているお話をされていました。そして「よい塩を造るには昔ながらの手法がいちばんなので続けている」と、誇らしい一言をコメントされていました。
本物の塩が美味しいのは本物だからなのですね。学びとはごく身近にあるものですね。
少し横道にそれましたが、来年の展覧会のスケジュールをまもなくお伝えいたします。
NEARの個展の顔ぶれは毎月毎月楽しみな方ばかりです。
またそのほかの展覧会については年間でほぼ決まってきていますが、
来年からそれらをいっぺんに発表するのではなく、時期が来たら、ひとつひとつお伝えしてくスタイルにいたします。
これまで拡大する方向であったものが一見縮小に見えるかもしれませんが、実は密度がさらに高くなって、情報量がとんでもなく含まれている・・。そういう仕事の方向でいこうと思っています。なるほど、おもしろいね、と見る人にはわかる、そういうことを目指そうと考えています。
うつわ祥見の企画する展覧会を楽しみにしていただけるように、裏切らないものを、と思います。作り手の皆さんとともにそんな展覧会を開きたいと願っています。
久しぶりの更新でしたのに、とりとめのない文章となりました。
onariNEARは1月29日まで。来春は1月4日よりオープンします。
2014年最初の展覧会は吉岡萬理展です。1月11日初日です。奈良から吉岡萬理さんがいらっしゃいます。
新年のご挨拶には年間スケジュールの印刷したカードと、萬理さんのDMとインタビューを同封いたします。吉岡萬理さんの力強く明るい言葉をぜひご一読ください。お出かけください。
年末年始、何かとお忙しいと思いますが、どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。
新しい年も変わらず、器とともに朗らかに。うつわ祥見をどうぞ宜しくお願いいたします。
2013年12月28日 祥見知生