TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

大貫妙子さんと「食べる」テーマに

 

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もう20年以上も前のこと、ライターという仕事をしていました。

さまざまな人のもとへ訪ね、話を聴いて、文章を書く仕事です。訪ねていくのはいわゆる文化人と呼ばれる方々で、いま思い出しましても、荒俣宏さん、蜷川幸雄さん、吉本隆明さんなどに平気で会いに行ってお話を伺っていたのですから、身の程知らずの若さというのは怖いものです。そのころに、音楽家の細野晴臣さんやゴンチチチチ松村さんなどには何度か繰り返しインタビューをさせていただきました。チチさんの初めてのエッセイ集『それゆけ茶人』(廣済堂出版)は私にとっての初めての編集の仕事となりました。

昨年出版した『LIVE 器と料理 to eat is to live』(青幻舎)のなかでは、亀田大介さん吉村和美さん吉田直嗣さんの三人の作り手にそれぞれインタビューをし、テキストを書きました。この本では、英語訳フランス語訳をつけることもあって、なるべくシンプルでストレートな問いにして、それに答えてもらうような問答にしました。なぜ作るに至ったのか、そしていまなぜ作るのか。これから何を作っていくのか。原稿を作るうえでは、返ってきた言葉がなるべくそのまま伝わるように、余計な装飾をせずに、まとめました。言葉を読み比べると、短いインタビューのなかにも、それぞれの個性が浮かび上がってくるのではないかと思います。

 

人の話を聴くことは、相手の方がどれだけ真摯に向き合ってくださるかに尽きます。思ってみなかったような言葉が返ってきて驚くこともありますが、インタビュー中、仕事であることも忘れ、その意外な答えに身を乗り出すようなことが起こったら、とても素晴らしいこと。もっとその人のことを好きになったり、理解できるようになったり。

海外でも優れたインタビュー番組がありますが、優れたものほど、その受け答えのなかには新鮮な驚きがあるものです。これもまた、LIVEそのものですね。

 

さて、今週末2月13日(土)は、現在、静岡県三島・クレマチスの丘にて開催中の『LIVE 器と料理 to eat is to live』展で、うつわ講座と、トークイベントが行われます。うつわ講座では、器という手に包まれる食の道具についてのお話をさせていただきます。昨日美術館の担当の方からご連絡をいただいたのですが、ご参加の皆様にお出しするデザートは富士山茶屋メニューの中の富士山ケーキを吉田直嗣さんのお皿でお出しする予定だそうです。富士山ケーキ! どんなケーキなのでしょう。とても楽しみです。(こちらは嬉しいことに既に定員に達しているようです)

 

17時からは音楽家の大貫妙子さんを招いて、「食べる」というテーマでお話をお伺いします。

 

2010年高知県立牧野植物園で開催した「樹と言葉展」で「樹の言葉」を出展していただき、記念ライブをお願いしたことがご縁となり、この数年のあいだ、仕事をさせていただいています。音楽活動40周年記念ライブのパンフレットや、河出書房新社から出版された『大貫妙子デビュー40周年アニバーサリーブック』。札幌芸森スタジオでレコーディングされた小松亮太さんとのアルバム『Tint』が昨年末日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞したことは、とても嬉しいことです。

 

大貫さんのエッセイ集『私の暮らしかた』(新潮社)は読まれ、共感された方も多いのではないでしょうか。季刊誌『考える人』(新潮社)に8年間連載されていたエッセイをまとめられたもので、なかには『TABERU』器の展覧会の記念ライブをして頂いた高知や高野山のことなども触れていらっしゃいます。

自ら無農薬で米つくりをされ、一切の薬を飲まず、整体で身体を常に整えていらっしゃいます。お身体を大切にされるのには、生きるということへの誠実さ、当たり前の真剣さが根底にあるように思います。今回は、食べることは生きること、to eat is to liveのテーマを深めて、お話をお伺いしようと思います。貴重なお話を聴く機会になると思います。ご参加ください。

 

大貫妙子×祥見知生 特別トークイベント 「食べる」を語る 

 

日 時:2月13日(土) 17:00-18:00

場 所:日本料理 tessen 2階

参加費:2,500円

※        ワンドリンクサービス付き

※        当日ヴァンジ美術館の入館無料

定 員:60名(申込先着順)

 

お申し込み クレマチスの丘コミュニケーションセンター

 TEL 055-989-8785(水曜定休)

http://www.clematis-no-oka.co.jp