TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 NEARで

冷たい雨、時折、小雪の舞う一日です。

今日は朝から鎌倉・御成のNEARに来ています。

外は凍えるような寒さですが、
硝子のショウウインドウの内側はあたたかです。

昨日から始まった尾形アツシさんの「刷毛目と粉引き展」。

見ごたえ充分の力作が届いています。

よい器はどんなに長い時間一緒にいても飽きることがありません。


わたしは器と、しみじみと、いたします。

しみじみと、こころから、しみじみと。

器を深く愛する気持ちで満たされると、

こころとからだの内側から ひたひたと、不思議なことに

温もってきます。

冗談のように、

「これほど器を愛することができるのか、と、われながら思うのですよ」と言うことがあります。

でも、ちっとも冗談ではないのです。

音楽を愛するように、車を愛するように、大切な誰かを愛するように、

器を深く愛する人がいてもいいんじゃないか、と思います。


『器、この、名もなきもの』を手にされた方に
「この写真は誰にも撮れるものではありませんね」と声をかけていただくことがあります。

 テクニックではなく、器への向き合い方、理解や愛情が、写真にあらわれているのだとしたら、
 嬉しく思いますし、これからもずっと、そうでありたいと思います。

 
それにしましても・・・久々に、器を包むと、「器を包むのが下手になったなぁ・・」と思います。

昔はもっと美しく包むことができたはずですが、

昨年あまりにも忙しく飛び回っていて、スタッフの方にお任せすることが多くなり、
器を自分で包んでいなかったせいかもしれません。

それではいけません・・・ね。


時刻は夕刻。16時を過ぎました。

次第に御成通りは薄暗くなり、足早に帰る皆さんの足取りからも
夜が近づいていることがわかります。

この時間、わたしは好きです。

NEARの夕暮れ、器とともにいる時間に、静かな満たされた気持ちを感じます。

NEARは、外のサインも、店内も小さくて 見逃してしまうほど小さな空間です。

時々「入りにくいお店ですね」と言われることもありますが・・・。


冬の夕暮れの湿った石畳の御成通りに、あたたかな灯りを見つけたなら

どうぞお入りになり、器とともに、ゆっくりとされてください。

鎌倉へいらしたら、器に会いにいらしてください。


○NEAR オン・ザ・テーブル

尾形アツシ 刷毛目と粉引き展は、2月24日まで。

会期中は18日木曜休です。

土と向かう尾形さんの厳しい仕事を感じます。
刷毛目の皿、鉢、長石釉の器、ヒビ粉引きの鉢など、
力強い器たちをご覧ください。



○『器、この、名もなきもの』出版記念展「時と器」が、
2月22日より横浜で行われます。

本で掲載された器を中心に、11人の作り手の器をご覧ください。
また、うつわ祥見やNEARでも使い、
和の器と相性がいい「イギリス・アンティーク家具」を特別に展示、お求めいただけます。

「この家具はどこで買えるのですか」とよく質問をお受けします。

 時を経た堅牢で美しく、味わいのあるテーブルやチェスト、椅子など、

 この機会に、アンティーク家具も楽しみにお出かけください。


横浜でも有数の歴史のある古いビルのギャラリーで行う展覧会です。


わたしも大変楽しみにしています。


くわしくは、うつわ祥見のホームページをご覧ください。

http://utsuwa-shoken.com/event.html