TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

出会いは夢なのだと思う。


毎日まいにち、時間が急ぎ足で過ぎていきます。

今年最後のOPENDAYが終わり、来月10月に行う高知でのイベントの準備や、年末までに仕上げるセツローさんの作品集の仕事をしています。

OPENDAYは関東を直撃した台風の最中であったのに、たくさんの皆さんに足を運んでいただきました。悪天候の中、お出かけくださったみなさま、本当にどうもありがとうございました。

9月8日 北鎌倉の雪堂美術館で行われた『宙の音の葉コンサート』は、満員御礼の賑わいになりました。こちらは台風一過の、真夏のような太陽がジリジリと照りつける暑い日。笛奏者の雲龍さん、やまとかたりの大小田さくら子さん、ディジュリドゥのKNOBさんがそれぞれの音の響きを重ねあわせて、重厚な音の世界を表現してくださいました。

これまで わたしは『遮那』を編集するずっと前から、雲龍さんの笛の音を、一人でも多くの方に届けたいと願ってきました。それは、器を伝えるのと同じ気持ちで。

このコンサートの時にも、皆さんの前で話したのですが、現代は音の洪水の中に、わたしたちは身をおき、実はそのことで真の「音」を奪われてきたのではないか・・・と思っています。

奪われた「音」には、自然のゆらぎのある音、虫たちが羽を振るわすかすかな音、山をかける風の音、水の音、もしかしたら雲の流れる音もふくまれていて、非常に有機的に重なりあう音の世界が広がっているように感じます。

そうした、本来わたしたちの耳に届くはずの世界のあらゆる美しい「音」がかき消されている。まったなしに流れてくるテレビや、消費されるために「製造」された流行曲や、街を歩けばあらゆる騒音に、かき消されているように感じます。

そんな音の洪水の中にあっても、かすかな自然の響きに耳を傾けて生きていくことを覚えると、自然に、自分のまわりにいてくれる「生き物」たちへのいたわりの心や、感謝の気持ちにあふれてくるように感じています。

雲龍さんの笛の音は不思議です。笛というとてもシンプルな楽器で、わたしたちの気持ちを満たす。細野晴臣さんが「唯一無二の笛吹きだ」と評したことがよくわかる。
「響き」というもっとも根源的な音の世界を、わたしたちに伝えているのです。わたしは「言霊」や「音霊」という言葉をふだんあえて使いませんが、雲龍さんの世界には、この「音霊」が真に宿っていることを感じています。

雲龍さんのホームページもリニューアルして、見やすくなったので、ぜひご覧になってください。

http://shana-records.com/

OPENDAY、「宙の音の葉コンサート」にお出かけいただいた皆様 本当にどうもありがとうございました。

心に残る多くの出会いがありました。

竹中直人さんが「出会いは夢なのだと思う」とおっしゃった。本当にそうですね。

人と人が出会い、互いに励ましあうことができたら、ほかに何を幸せと呼べばいいのでしょうね。心から人を信じることを、つながって生きていることを、改めて感じた一週間でした。


○9月の展覧会は、「尾形アツシ陶展」 9月21日〜9月29日 会期中無休

粉引き、刷毛目、灰釉。求めるものの厳しさを感じさせる尾形さんの鎌倉初個展です。
どうぞお出かけください。