うつわとともに。祥見知生のブログです。

こころの風船の行き交う街に

今年最後のOPENDAYが20日に終り、次の展覧会までしばらくお休みです。

今年一年、うつわ祥見へお出かけくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました。

翌日には朝から都内で3つの出版社と打ち合わせで都心をうろうろしていました。

一つ一つに話が盛り上がり、所要時間がオーバーして次の場所への移動に、電車を間違えて乗ったり、駅からの方角を間違えたり。

それでも、歳をとると、だんだんずうずうしくなって、わからないことは人に聞けばいい!と思って、たくさんの方に道を尋ね歩きました。

道を教えてくださったみなさんは本当に親切ですし、私自身も電車の乗り換えなどをご年配の女性に尋ねられて、わかる範囲でお答えしたり、そういう「お互い様」や、小さな「つながり」が世の中に風船玉のように流れているように感じられたよい一日でした。こういう「こころの風船」が穏やかに風に漂っている街になれたらいいですね。

そして、今日は早朝から電車とバスを乗り継いで、山中湖へ行ってきました。宇宙物理学者の佐治晴夫先生にお目にかかるためです。

藤沢から東海道に乗り、途中の駅で「御殿場線」に乗り換えます。この御殿場線はローカルな電車で、路面電車に見られるような「ワンマン電車」。駅員のいない駅では電車の中で回数券と一緒に料金を料金箱に支払って降車するのです。
向かい合わせの4人掛けの席に、なんでしょう・・・何か大きなスポーツの道具を持った青年と向かい合って座り、小さな旅気分です。といっても、電車に乗ってからしばらくは今日の打ち合わせの書類を目を通して下を向いてばかりいました。

いつもの悪い癖で、出かけるぎりぎりまで他の仕事をしてたので、この電車の降車駅の御殿場駅までの所要時間、駅の数など下調べをしてこなかった私は途中でとても不安になりました。「もしかしたら下を向いて仕事に集中しているうちに乗り過ごしたのもしれない・・・」御殿場駅からはさらに路線バスに乗り換えて目的地の山中湖まで行かなくてはなりません。「もしや乗り過ごしたのでは・・・」と青くなって、向かいに座っている青年に問いかけるととても親しみのある顔で「まだ大丈夫です。これからです」と教えてくれました。

それからは、安心して、窓の外の景色に目をやりながら、線路脇の農家の軒先につるしてある干し柿や、低木に重なるようになっているみかん、人々の営みが垣間見られる風景を見て、この小さな電車の旅を楽しみました。

佐治先生は、宇宙の根源的性質である“ゆらぎ”を世界初の[ゆらぎ扇風機]や長時間録画VTRなどの家電製品に応用した物理学者です。1977年のNASAが打ち上げた太陽系・外惑星探知機:ボイジャーにバッハの平均率クラヴィア曲集、第1巻、第1番「プレリュード」を搭載する事の提案されたことでも知られています。また音楽にも造詣が深い先生は、近年パイプオルガンによるコンサートも行い、「夢は博士の肩書きを辞めてオルガニストになること」とおっしゃられる魅力的な方です。

最近では、先生の著作「宇宙の不思議」をいつも鞄に入れて読んでいます。「おそらにはてはあるの」(玉川大学出版部)は子供むけの絵本ですが、宇宙を知る上で深い智恵を与えてくれる名作です。

お会いした佐治先生は、一つひとつの言葉がやわらかく、とても素敵な方でした。

お話も後半になって「普段伝えている器で目に見えないものが含まれている器というものがあり、心惹かれるのですが、それを数学的に言い表すことができるのでしょうか」と質問すると、「できますね。それは人間の脳が感じているということですからね。器のゆがみ具合や、色の調子というもののよさを、人間が感動する、そのことを数値に表すことはできると思いますよ」と、にこやかに答えてくださいました。

そもそも先生のご専門の宇宙の学問は、「目に見えること」と「目に見えないこと」を一緒に扱う学問です。
器の中にあらわれる「目に見えないもの」について、次回、器を前にして、また質問をしてみたいと思います。

また、先生の言われたことでとても印象に残っているのは、その現象をどう思うかで人生は変わってきますよ、ということです。具体的にはコップ半分の水を見て、「半分しかない」と思うか「半分もある」と思うかによってその人の人生が変わるというお話です。
よく耳にする簡単なたとえ話ですが、小さな例題を当てはめることで、大きな問題を予測したり、定義づけたり、真理に近づいたりすることができると考えますと、このコップの水の話は、「よりよく生きること」の本質につながっていく可能性があるのではないでしょうか。


来年度は、笛奏者の雲龍さんと佐治先生のコンサートを企画する予定です。
とても楽しみです。



○セツローさんの作品集『セツローのものつくり』は牧野植物園で初披露目です。

くわしくは、高知県立牧野植物園のホームページをご覧ください。

http://www.makino.or.jp/index.html

1月6日にはセツローさんが在廊します。セツローファンのみなさま、新年早々、セツローさんに会いに高知へ行きましょう!! 


○ 高知・五台山竹林寺での「雲龍IN竹林寺 コンサート」の詳細が 竹林寺ホームページでUPされています。

くわしくは 竹林寺ホームページをご覧ください。http://www.chikurinji.com/