TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

鶴見宗次手びねりの器展


うつわ祥見のオープン記念の展覧会「かろやかな器たち」からのお付き合いとなる鶴見宗次さんの展覧会が始まっています。

精製されていない原土を使い、手びねりで作る器は、小石が顔を出し、その質感はざらざらしています。

使い続けていくと、土そのものがしまってしっとりと落ち着いてきます。

その様子を見守ることが何よりも楽しい器です。

器を使う喜びは、「変らない」ことではなく、時間の経過とともに「変っていくこと」なのだとしみじみと思います。

今回は小鉢や、片口を求める方が多いようです。

イチカワヨウスケ君のお店「なると屋+典座」で胡麻豆腐を載せて使われているのを知っていて、求められる方もいらっしゃいます。

食材を載せてより器が引き立ち、はっとさせられる。

個展の時に、その作り手の「今」が見ることができるとしたら、鶴見さんのどんな「今」が見られるのだろう・・・とこの数日、鶴見さんの器たちを見ていて感じたのですが、それは言葉にならないほど淡々とした「今」でありました。

器の作り手には、少なからず、欲があるものです。

それは、自分が作りたい器というイメージを常に目標に掲げて仕事をしているのですから当たり前のことですし、自分の信じていることを器という形にするのが作り手の仕事です。

けれど、鶴見さんの器には、その作り手の「欲」のようなものが感じられない。

なぜだろう・・・と頭をひねっていて、
そういえば5年前の「かろやかな器たち」展で見せてくれた器たちも、同じように控えめで品がよく、土ものの器のよさを静かに伝えた器だったことを思い出しました。

あまり多くは語らない、鶴見さんの人としての大きさやあたたかみを、器を通じて改めて感じます。

余計なことは言わず、包み込むようにそばいる。「これでどうだ」がないということが、手法を越えた魅力なのですね。

気負ったところがない、とてもよい器です。

鶴見さんの器、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思います。
週末までの時間、のんびりと、鶴見さんの器に、会いにいらしてください。


「鶴見宗次 手びねりの器展」

2007年10月26日〜11月3日まで。時間11時〜17時。会期中無休です。

くわしくは、うつわ祥見のホームページまで

http://ustuwa-shoken.com