OPENDAY
今日は久方ぶりのOPENDAYでした。お出かけくださった皆様 ありがとうございました。
常設の器の展示をするのは、わたし自身、とても楽しい時間です。
「いつから器が好きなのですか」
今日初めていらした女性からの質問でした。
10代から、自分でもわからないくらい器が好きなのです、と答えました。
どうしてかわからないけれど、人それぞれに、どうしようもなく惹かれるといことが、ありますね。
サッカー選手にとってはサッカーでしょうし、歌を歌う人にとっては、それは歌なのでしょう。わたしにとっては、それが器です。
しかし、陶芸家になろうと思ったことは一度もありません。
「自分でも作られるのでしょう」とよく尋ねられるのですが、陶芸家を目指したこともないし、実はロクロを触ったこともありません。
なぜか・・・
これほど器が好きであるのに、作る側になることをただの一度も、夢にも思ったことがないというのは、我ながら不思議なことですが、ロクロをまわしたことがないことには、ちゃんとした理由があります。
わたしにとって、それだけ、土をこね器を作ることは、何よりも尊いことなのです。
それは、踏み込んでいはいけない領域です。聖域です。
作り手が真摯に土と向き合って、それこそ身を削って器を作っている、その仕事の厳しい領域に軽々しく入り込んではいけない。そう考えています。
形ばかり、表面ばかりが「器」のかたちをしているものが、世の中には数えれないほどありますね。器がお金の価値であったり、自己表現であるうちは、器の本当の輝きは生まれてきません。
ただひたむきな器作りの繰り返しにのみ、人のこころを励ます「器」ができると信じています。わたしは現在、そうした厳しい仕事の作り手の器を、伝えてます。
器を作る作り手がいて、それを使う使い手がいる。その間に、器を伝える「伝い手」がいるのではないでしょうか。
さまざまな出会いがあり、文章を書くことも展覧会を開くことも、音楽の会を開くことも、演奏者のプロデュースも、本の企画・編集も、同じ気持ちで行っていますが、最近、プロフィールの原稿を見直す機会があり、自分の仕事のことをどんなふうに記したらよいのか、と悩むことがありました。
その際に、この先も大切にしたい仕事とは?と考えていくと、
先のことはもちろんわからないけれど、
一つだけはっきりと答えが浮かんできました。
それを一言で、臆せずに言えば、器を伝えるひと になるでしょうか。
そんな気持ちから 一つだけ今日は・・・
インターネットで器を販売されているサイトを見て、驚くことがあります。
器のサイズを比べるために、CDケースと一緒に写真を撮っていることがありますね。
器を愛する者として、ああいう写真だけは、理解に苦しみます。息苦しく、悲しく思います。皆さんはいかがでしょうか。
OPENDAYは9月5日〜7日です。
○9月から「ごはんのうつわ展」を下記のスケジュールで行います。
二年越しの企画で、西日本を中心としたギャラリーさんの協力で行います。
お近くの会場へ。ぜひお出かけください。
9月20日(土)〜9月28日(日)福岡・クラフトの店梅屋
10月4日(土)〜10月11日(土)明石・ギャラリー風来
10月25日(土)〜10月26日(日) 高知・高知県立牧野植物園
10月27日(月)〜11月7日(金) 花と器SUMI
11月3日(月)〜11月15日(土) 東京・馬喰町ART+EAT
11月8日(土)〜11月15日(土) 輪島・うつわわいち