毎日更新8日め
20代で文章を書く仕事を始めた頃、わたしはとても「早起き」でした。
朝5時には目が覚めてすぐにワープロ(当時はまだパソコンではなかったです)に向かって文章を書くので、
周りの人は「よく頭が働くねぇ」などと言ったものです。
ある一つのまとまった文章を書く場合、簡単に言うならば、そのテーマに深く入っていくのです。
そして常にそのことを考える。だから掃除をしているときも、茶碗を洗っているときも、
たぶん眠っているときにも、そのイメージの森は広がっていて
さらにその森の奥をわたしは一人で歩いていたのだと思います。
不思議な表現に聞こえるかもしれませんが、文章を書くというのは、つまるところ、そんな作業ではないか、と思います。
もちろん資料を読み込むことも大切ですが、やはり、どんなテーマも、自分のなかに一回取り込んで咀嚼し、
バラバラになったものを再び自分の内部(これがこころですよね)で形づくり外に出す=文章を書く、ということです。
きっと音楽もそんなふうに作り上げるものでしょうし、洋服や鞄、靴に至るまで、
ものづくりの原型というのは、一人の人間の「思い」から生まれてくるなのかもしれません。
わたしは信頼する作り手に「よい器を作ってください」と手紙に書くことがありますが、
それは「あなたの信じていることを、かたちにしてください」と言っているのです。
誰かの真似事や、「流行」(こんなことがあっていいのか・・・と思うほどですが)にとらわれず、
信じる器を作ってほしい。
「器でわたしを泣かせてほしい」と言うのです。
器で泣くことがあるのかと思われる方もいるでしょうが、器でほんとうに泣くのですよ。
それくらい器には力がある。器には、人のこころを揺すぶる力があります。
そして、わかってきたのは、器を作る人自身が「器でこころを揺すぶられた」強烈な体験をしているということ。
そう考えると、今わたしのこころを揺すぶるものは何か・・・と考えずにはいられません。
この「毎日更新の文章初日」に、優れた作り手は「土のこころ」というものがあることを知る、と書きました。
「土のこころ」とは土の性質に寄り添う作家自身のこころの深さであり、
そして器つくりをしていて最後に行き当たる「土のこころ」や「器の神様」としか表現しようがない「何ものか」にほかならないのでは・・・と、思います。
この文章は、今朝6時半に起きて書きました。
朝はやっぱり前向きな気持ちでいいですね。
●うつわ祥見の次回展覧会は木工家・須田二郎さんの木のうつわ展です。
2年ぶりの個展です。4月24日〜4月30日。初日に須田さんが在廊予定です。
●「吉岡萬理 カルロス君と色絵の世界展」 馬喰町 ART+EAT
2009年5月7日(木) 〜5月23日(土)
11:00〜19:00 金曜日は21時まで
日月休廊 会期中休み 5月10日・11日・16日・17日
最終日は17時まで
関連イベント
5月9日(土) 記念イベント
『カルロス君を想う』野菜料理とライブ「カルロス君のうた」発表会
カルロス君のうた (作詞:shokentomoo 作曲:武徹太郎)
18時受付 18時30分スタート
会費 3000円(税込)
大阪ブックギャラリー「イトヘン」で、吉岡萬理+祥見知生連載コラムが再開しました。
萬理さんの楽しく、明るいエネルギーが感じられるコラム、そして、わたしも相手が萬理さんとあって、とてもリラックスした文章を書いています。
●うつわ祥見の新しい空間 utsuwa-shoken onari NEAR が5月1日オープンします。
「よい器は、ここに来れば いつでも会える」
そんなお店になりますように。
鎌倉の裏駅から徒歩4分ほどの、「御成通り」の端っこです。
時間がゆっくりと流れているこの通りで、「器を伝える場所」を。
器を通じて新しいものがたりが生まれたらいいなぁ・・と思います。
また多くの方と出会えることを願っています。
●セツローのものつくり展
東京・国立新美術館 地階 SFTギャラリー
2009年3月18日〜4月20日
くわしくはこちら→ http://www.cibone.com/sft/sftgallery.html
東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館B1
TEL: 03-6812-9933 FAX: 03-5775-4670
10:00-18:00 (金曜日のみ20:00まで)
毎週火曜日定休(祝日又は休日に当たる場合は開館し、翌日休館)
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