夕刻の風景に
夕刻、御成通りは、18時半にもなると、お店のほとんどがシャッターを閉めて、店じまい。
あちこちで「お疲れさま」の声が聞こえ、「今日一日がまた終わったね」という安堵の空気が漂います。
わたしは朝の「これから一日が始まる」空気も好きですが、この「終わりの時間」夕刻の、この通りの雰囲気がとても好きです。
商店街をぶらぶらと歩いていて駅に戻る途中には、勤めを終えて家路を急ぐ鎌倉住まいの方々とすれ違います。
その皆さんの顔がまたいいんです。皆、「生きてる」人の顔をしている。家でごはんを食べるんだろうな・・・家で家族が待っているんだろうな・・・と思わせる安心感があります。そんな皆さんを見ていると「ああ、鎌倉はいいなぁ」と改めて思います。
鎌倉は日本を代表する観光地であるけれど、何が魅力かと問われたら、ここに住んでいる人がいい・・・のですね。
この街を愛する人たちがいる、ということ。
そのことが、街ぜんたいに漂う「まっとうさ」につながっていると、そう感じます。
それは言葉を変えれば、代々続いてきたものへの信頼であると思うし、受け継いできたものを、普段言葉にはあえてしないけれど、根底で愛している鎌倉に住む人の誇りであると思います。
今日、夕方、真向かいの「くろぬま」さんを見ていたら、お孫さんでしょうか・・・若い男の子が古いシャッターを閉めるのを手伝っていて、わたしの視線に気付くと、その子が軽く会釈をしたんですね。その様子がとても自然で、なんでもない日常の一コマであることが、とてもよかったです。もうそれは、世の中の、あらゆる街角に転がっているような「まっとうさ」なんですね。
そのことが、わたしを、嬉しくさせてくれた・・・こういうほのぼのとした気持ちが、きっと、「幸せ」ということなんだろうな・・と思います。
夕暮れ時の、御成通りは、ここで暮らし続けてきた皆さんの、守ってきた大切なものが、「空気」となって伝わってくる。
少々センチメンタルな時間、わたしはこの街が好きだと、そうはっきり思うのです。
器を伝える仕事は、見た目よりもシンドイこともあるけれど、それでもなお器を伝える仕事をしてきたいと願うのは、器がセンチメンタルなもの・・・と思うことがあるからかもしれません、器にはものがたりがある・・・というのでしょうか。
人が生きることを、器は「映す」。食べる道具の器は毎日毎日使われて育っていく、愛しくてせつない。それが器です。
駅に向かって歩いていて、そんな気持ちで振り返り、携帯で撮った写真です。
これから初夏に向かって、7月8月は、オープンの時間を延長して、夕方からのこの時間に器と過ごす会を企画する予定です。
夕暮れのうつわ会 いいでしょう。響きも。
詳細が決まったら、またお知らせしますね。
●「吉岡萬理 カルロス君と色絵の世界展」が馬喰町 ART+EATで行われています。
萬理さんに会うまでは「陶芸家は皆、気難しくて恐い人だと思ってました」と言う方が「陶芸家ってこんなに楽しい人もいるんだ」と目から鱗・・・という人もいたりして、とにかく、元気いっぱい笑顔いっぱい、そして厳しさとやさしさのある萬理さんに会いにきてください。今回の作品はますますパワーアップしています。
そして、5月9日には、記念イベントがあります。
わたしももちろん駆けつけます。美味しい料理と楽しい時間、ぜひご一緒に過ごしましょう。
馬喰町バンドの情報も、イベントページで紹介しました。
http://www.utsuwa-shoken.com/event.html
日本のソウルを感じさせる、哀愁と、そして根底にある明るさが魅力のバンドです。
生のギター、いいです。
ぜひご参加ください。 ただいま予約を受け付けています。
くわしくは、馬喰町ART+EATのホームページをご覧ください。
2009年5月7日(木) 〜5月23日(土)
11:00〜19:00 金曜日は21時まで
日月休廊 会期中休み 5月10日・11日・17日
最終日は17時まで
関連イベント
5月9日(土) 記念イベント
『カルロス君を想う』野菜料理とライブ「カルロス君のうた」発表会
カルロス君のうた (作詞:shokentomoo 作曲:武徹太郎)
18時受付 18時30分スタート
会費 3000円(税込)
大阪ブックギャラリー「イトヘン」で、吉岡萬理+祥見知生連載コラムが再開しました。
萬理さんの楽しく、明るいエネルギーが感じられるコラム、そして、わたしも相手が萬理さんとあって、とてもリラックスした文章を書いています。
●次回、うつわ祥見の企画展は、横山拓也陶展です。
印象的な白の器を作る横山さんの、うつわ祥見での初個展。
とても楽しみです。
会期 2009年5月15日〜5月21日
初日15日と、17日に横山さんが在廊する予定です。
ぜひお出かけください。