TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 ボーイフレンドとガールフレンドと、そして生きる器と。


おとといのラジオな一日も無事終わり、
きのうの夜は装丁家の坂川栄治さんとご一緒に。いろいろな楽しい話を六本木界隈で。

「あんな東京タワー見たことある?」と坂川さん。

ライトアップされた東京タワーなんて テレビ以外でほとんど見たことがないのですから 「いえいえ」。

なんでも ちょっと珍しいタイプの「ライトアップバージョン」だとか。

一瞬、地元の、夜が早い鎌倉界隈に住んでいると ライトアップには慣れていないなぁ・・と 思いました。

一番のきらびやかな都会が隣の藤沢駅前ですものね・・。


装丁家の坂川さんは、『日々の器』のデザインをしてくださった方、
実はわたしが雑誌に連載していた17年近く前にも連載ページをデザインしてくださった方なのです。

村上春樹さんやよしもとばななさんの小説の装丁や、絵本「あらしの夜に」など。
ご自身でも小説を書かれたり、写真についてのお仕事をされている方です。


今月のJALの機内誌にも映画に関してのエッセイが載っていましたけれど、

猫と老人が旅をするロードムービーを紹介されている文章を読んでいても、温かい方だなぁと思います。

帰り際に「何か一緒に展覧会をやりたいですね」と言うと
「おぉ! そうだね。ショウケンさんのプロデュース能力は信頼するよ」とのこと。


そのうち、新プロジェクトを発表するかもしれません(笑)


J-WAVEのラジオ番組では、ナビゲーターのレイチェルさんが素敵な方で、器もとても好きだというので

リラックスして話をすることができました。

今度鎌倉へも遊びに来てくださるとのこと。

再会が楽しみです。


放送では いくつか質問をあらかじめいただいていたのですが、そのなかで

「あなたが一番輝いている時間はどんなときですか」という質問があり、

考えていたのですが、実際は時間がなくて話せなかったのです・・

その質問の答えをこんなふうに考えていたのです。


「大好きなひととごはんを食べる時間です。家族とごはんを食べることもそうだし、
ボーイフレンドやガールフレンドと、一緒に美味しいものを一緒に食べて『美味しいね』と笑いあっているときが一番幸せ・・」

同じ日の鎌倉FMのパーソナリティの方にも 打ち合わせのときに「器以外で何か話題はありますか」と訊かれたので同じことを言ったら

「ボーイフレンドとか、ガールフレンドって、友達は男か女かどっちかしかないでしょう」と言われたのですけれど、

それは違うんですよね。

ともだちと「ボーイフレンド」と「ガールフレンド」は違うのですよ・・と説明しました。

わたしは どちらかというと、「ガールフレンド」が多いのですけれどね。


ショウケンさん、何が言いたいの? という今日のこの文章ですが、


坂川さんのような大人の素敵な男性とお会いすると、
「人生の楽しみ方」って人それぞれだけれど、
古い表現のようですが、
やっぱり良い歳の取り方ってあるんだなぁ・・と思うわけです。

わたしは器を伝える仕事を通じて出会った、
たくさんの「ボーイフレンド」と「ガールフレンド」がいる人生がいいな、と思う・・・そんな話です。
(作り手の皆さんはもちろん、その・・・フレンドには含まれません。念のため)

そして、大好きな人と一緒に、美味しいね、と無邪気に言い合いたいと思う。(この、無邪気に!が歳を重ねるほど 大切なのです)

それ以上の幸せなんて どこにもないことをいつも感謝していたいと思います。


「器はモノであって、モノではなく、食べることを支えて、いつもそばにいるもの」

器を好きになることは高尚な趣味を持つことではなく、生きるための明日を愛することだと思います。

そして、「生きるための明日」も「今日」も「きのう」も、大好きな人が大勢いる人生であってほしい。

強がりも泣き虫も寂しがりやも、ごはんを食べて

「美味しいね」と笑える時間があったほうがいい。


土から生まれた器でごはんを食べる。

明日もそんな平和な、なんでもない一日であってほしいと思います。


こんな話の結びになりますが、

きのう昼食を食べていまして

食べ終わって器を片付けようとして はっとしたのです。

4枚のお皿がすべて小野哲平さんの器だったので。

それで思わず撮った写真がこちらです。


「よい器とは使われる器だ」といつも言っていますが、

そのことは哲平さんともよくお話するんですね。

「せっかく買っても、使う器は限られるでしょ、やっぱり自然に手が伸びて いつも使ってもらう、それが器の力でしょ」とおっしゃる。

意識をせずに揃えた器がすべて彼のものだったのだから、この「器の力」は本物です。

それと、こうした器たちを見てしみじみと思いますのは、「小野哲平」という人が作る器はしみじみ「食べるための器なんだ」「生きるための器なんだ」ということなんですね。

それは強烈に、鮮やかに、ゆるぎなく・・・。


なんだか宣伝のようですけれど、ほんとうにちょっと驚いたので。



onariNEARで始まる「小野哲平 鉄化粧の器展」ますます楽しみになります。


小野哲平 鉄化粧の器展は 4月23日(金)から始まります。 〜4月30日(金) まで。


「うつわハートフル展」でも、この哲平さんの四角皿なども出展されています。

国立新美術館地階 SFTギャラリー  2010年3月10日(水)〜4月19日(月)  

〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館B1

TEL: 03-6812-9933 FAX: 03-5775-4670 

10:00-18:00 (金曜日のみ20:00まで) 

毎週火曜日定休(祝日又は休日に当たる場合は開館し、翌日休館)

アクセス

東京メトロ千代田線乃木坂駅6出口

東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分

都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分

http://www.cibone.com/sft/sftgallery.html

展覧会会期もあとわずかです。

ぜひお出かけください。