TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

NEARにて 


世間はゴールデンウィークですね。鎌倉は駅周辺を中心に大賑わいのようでした。

4月の最後の日。時刻は22時を過ぎました。

今夜は夜の食事を終えて もう一度 鎌倉駅そばのNEARへ来て、

明日からの一周年記念展の準備をしています。


海岸を車で走ると、夜の月がオレンジに輝いて 海に月の道ができていました。



さきほど遅くまで仕事をしていてくれたスタッフの神田も帰り、

いまNEARに、わたしと器たちだけ。



明日でNEARはオープンから一年を迎えます。

14名の作り手の方から届いた器たちを棚に飾り終えて、ひとり 器といます。

特別な感情ということではなく、

とても淡々として静かな気持ちです。


今日は昼間、NEARで 最初たまたま入られた方かな?と思う若い男の子が
熱心に器をご覧になっていて
「最近はこういう土っぽい器に出合えなくて・・・でも こんなふうに見られて嬉しいです」と
おっしゃって、小野哲平さんの鉄化粧のめし碗を選ばれました。

器を包んでいる間に「あちらの棚にも土もののよい器があるのでよかったらご覧くださいね」と
お伝えすると、

しばらくして嬉しそうな笑顔を浮かべ、「これもいただきます」と
村田森さんの粉引きのめし碗を選ばれました。

嬉しいですね。

きっと今ごろ、ここで出合った器たちを手に包んでくれていることでしょう。



この、鎌倉の小さな空間で、
「なんでもないもの、素朴で美しいもの、人のそばにいるもの」を
テーマに、常設の空間を開き一年となりました。

しみじみとこの空間を作ってよかったと思える瞬間がありました。


器とは愛おしいものです。

それは何かに例えられないほどに・・・。

人のそばにいて、人とともに時を重ねていく。

そのことを、訪れてくださる皆さんに教えていただいたように思います。



明日から「NEAR一周年記念展」がはじまります。

この一年の感謝をこめて 本当にいつもありがとうございます。



そして、また明日から どうぞ宜しくお願いします。



onari NEARにて 2010年4月30日 夜  祥見知生