小さな旅の一日
おはようございます。
鎌倉は 曇り空のこの季節にしては 肌寒い朝を迎えました。
きのう、晴天の高知へ行ってきました。初めての日帰り。
朝一便に乗って、最終便で帰ってきました。ちょうど朝7時すぎに鎌倉を出て、夜9時半くらいに家に戻ってきた感じです。
荷物もないから楽だなぁ・・・、高知日帰りできるじゃない・・・ という、とっても好印象の一日の旅です。
たぶん、行き先が何度も訪ねている大好きな高知であったこと、
訪問先の高知県立牧野植物園が高知空港から車ですぐの場所であったこと、
ご一緒したのが松浦弥太郎さんであったこと、
植物園の担当者が大の親友のような存在であること、
植物園でお会いした高知の画家松林誠さんが本当に素敵な方だったこと、
5月の高知のさわやかな晴天が何よりも気持ちがよかったこと・・・・など、
こうして書き連ねても、書ききれないほどの「めぐり合わせ」が、
この旅を終えて「よい旅の一日だった」と思えるのだと思います。
帰りの飛行機で、珍しく窓側に座り(最近はあえて通路側を選ぶようにしているのです)、
少しうとうとした後で目を覚ますと、ちょうど雲の上に太陽が沈まんとしている瞬間を目にすることができ、素直に感動する自分がおりました。
あまりに美しいので、ずっと窓の外を見続けました。
そういえば・・・と思い出したのですが、
2004年か2003年か、初めて 高知の小野哲平さんの工房を訪ねた日も帰りの飛行機で太陽が沈む空を見たなぁ・・と。
そのあと、DVDブックなるものを作ることになる、彼が住む「谷相」という場所に呼ばれた旅であったと今は思うのですが、
あの数年前の、帰りの飛行機で見た空の美しさ、気持ちが高揚していたぶん とても印象に残っています。
ほろほろと涙が出たんですよね、そのとき、わけもなく。
空を見て涙があふれるなんて たぶん初めてのこと。
思い返すと、機内のイヤフォンで聴いた音楽はサザンの「いとしのエリー」でした(今から思うと、なんだったんだろう!! 機内ではいつも落語を聴くので 音楽を聴かないんです。それにサザンファンには申し訳ないけれど、めったにないことです、桑田さんの音楽を聴くことは。)
隣で文庫本を読んでいらっしゃる松浦さんとの小さな旅も、きっと後から 思い出すことになるのかしら・・と、
初めて見た轆轤を引く哲平さんの姿や、谷相で過ごした時間や、その日見た美しい夕日や、桑田さんの歌声を思い出していました。
人の記憶って波のように押し寄せてくるんですね・・・。
さてさて、昨日の旅と言えば
敬愛する牧野富太郎博士。 高知を訪ねるたびに訪れる牧野植物園で出迎えてくれる、博士の写真です。
博士の仕事を知ることができる「牧野富太郎記念館」の中庭あたりを歩く皆さん。
展示方法の打ち合わせを行ったあと、牧野富太郎博士の蔵書を保管している「牧野文庫」を見学。
江戸時代の初版本の『解体新書』など、
大変貴重な書籍を拝見しました。
膨大な数の古書のコレクションにアタマがくらくらしました。
博士の肉筆の植物画も実際に拝見し、また、愛用の鉛筆も見ることができました。
「牧野文庫」は一般には公開されていないので、わたしも初めて拝見することが叶ったのです。
牧野博士は「知の巨人」であったことを改めて感ずるのでずが、途方もない「知への探究心」には畏怖さえ感じました。
牧野博士は日本の植物学の父と言われる方ですが、自らを「草木の精」と称し、植物を全身で愛した方です。
今年秋にこの牧野植物園で「樹と言葉展」を行います。
「樹と出会う」というテーマで、さまざまな方に言葉を出展していただきます。
松浦さんの言葉に、松林さんの画。お二人のコラボレーションが実現することになりました。
「樹と言葉展」は来年の2月まで4ヶ月間にわたる長期の展覧会です。
樹と言葉をテーマにした展示とともに、音楽ライブやトークショウ、ワークショップなどのサイドイベントも行われます。
器の展覧会とともに、この「樹と言葉展」は今年の大切な仕事です。
この日記にはほとんど書いてきませんでしたが、
「樹と言葉展」は去年からずっと準備に動いていまして、
やっと皆さんにお伝えできる段階になってきました。
この日記でも、これからはときどき 触れていきますので、
「ショウケンさん、なんか必死だなぁ・・。このヒトがこんなに動いているのだから、
何かおもしろそうなことがありそう。今年の秋は高知の植物園へ行こうかな」と
思ってくださったら。( ・・・いや、本音なんですよ、植物園でぜひお会いしましょうね)
今日は一日鎌倉で、早川ユミさんの新刊本の編集の仕事をします。
では皆さん、今日も、器とともに「愛する一日」をゆっくり過ごしましょう。よい休日を。
これからの展覧会のお知らせ
○ onariNEAR オン・ザ・テーブル 6月4日(金)〜6月16日(水) 「夏の日。茶漬碗展」
出展作家 尾形アツシ 石田誠 鶴見宗次 村田森 吉岡萬理 吉田直嗣
○ うつわ祥見 吉田直嗣展 6月12日(土)〜6月18日(金)
初日12日と13日 吉田さんが在廊します。
くわしくはうつわ祥見のホームページをご覧ください。