TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

常設、そして、WEBSHOPについて

こんばんは。

新年が明けたと思っておりましたら、もう2月がやってきました。

今冬は、西日本で記録的な降雪があるなど、日本列島を寒波が覆う日もありました。こうした寒い季節ほど、家で暖をとり、ゆっくりされる時間に器の出番も多いもの。あたたかくして、健やかにありたいものです。

 

本日は節分ですね。皆様、お家の豆まきは済みましたか・・。

節分は節目の大事な日。本日よりonariNEARでは常設展示が始まりました。

 

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昨年2015年はニューヨーク、台湾にて、器の展覧会を開催することが叶いました。経済産業省事業The Wonder500では、まだ知られていない日本のものを世界にというプロジェクトのもと、海外発信するもの選びをするプロデューサーとして、19人の作り手の器を選出いたしました。こうした経験をするなかで、器には様々な可能性があることを感じています。器は、日本国内に留まらず、うつわなるものの精神性も含め、国の境を超え、さらに広まりを見せていく潮流にきているのかもしれないと思うのです。

 

うつわ祥見の仕事は、鎌倉の小さな場所で、しっかりと器を伝えていくことです。昨年12月、WEBSHOP をリニューアルし、「鎌倉から器を」の想いを明確にすることにいたしました。

実はオンラインショップはこれまでもあったのですが、ほとんど機能させておりませんでした。器は実際に手に包んで選んでほしいと考えておりましたので、消極的だったのです。しかし、このたび、この考えを改めることにいたしました。

 

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大きくは、WEBSHOPとonariNEARの常設展示とリンクさせることにしました。WEBに掲載した器が実際に手に包める、この連動は、より器を身近に感じていただけるものと思います。また、このことによって、遠方にお住まいの皆様にも器をお届けすることができるようになります。とても素晴らしいことです。器の紹介ページでは、お店を訪れてくださった方に器について説明するように、ひとつひとつ、言葉を書いていきます。

さらに、うつわ祥見のWEBSHOPを、海外からも器をご覧いただくページに成長させようと考えています。器というものの美しさや健やかさを伝え、そして誠実に届ける。リニューアルから1ヶ月、まだわずかですが、嬉しいことに海外にお住まいのからのご注文もいただいています。これから多言語化にむけて、さらに整えてまいります。

 

鎌倉から器を。うつわ祥見Webshop http://utsuwa-shoken.shop-pro.jp

 

さて、2月はしばらく常設が続きます。

日々展示が変わる常設は、毎日がLIVEそのものです。

できればゆったりと時間をかけて、ご覧ください。

時々、椅子に腰掛けながら、眺めては近寄り、近寄っては眺める。

近視眼ではない、そんな器の見つけ方がおすすめです。

棚に出ている器は、実のところ、わずかです。同じような肌の器を見たい、こんな器を捜している、とご希望をどうぞお聞かせください。なかには秘蔵の一客をご紹介できるかもしれません。

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そして、2月20日からは寒川義雄さんの個展が始まります。

先ほどの寒川さんと電話でお話をいたました。「ぼくのいまの100%を見ていただきたい」と。力強い言葉です。

また、嬉しいことに、新潟で初めてのうつわ祥見の企画展が実現します! [FUROSHIKI]shokentomoo POP UP STOREです。

会期2016年2月21日(日)~28日(日)
場所:store room 新潟県新潟市中央区上大川前通7番町1237-1 
http://lifewares-web.com/theme/news

念願の新潟へ器とともにお伺いする日を楽しみにしています。

くわしくはホームページをご覧ください。

http://utsuwa-shoken.com

 

きっと、2月は駆け足で過ぎていってしまいますが、

過ぎていく日々を慈しみ、一日一日を重ねていきたいと思います。

 

 

 

ひとりの手のなかで

こんばんわ。

寒い日が続いています。

冬になると、春が待ち遠しく、夏には秋を待ちこがれる。

繰り返し繰り返し、人は、あたたかさや涼しさや、心地よさを求めるものですね。

福井で原発が再稼働をされるというニュースが流れる夜です。遠い国の愚かなエピソードのように白々しく感じられます。こういう気分を何に例えたらよいのでしょうか。こんな夜は(今夜一日のことではもちろんなく・・)、好きな器でごはんを食べて、古本屋で見つけた本を読んで静かに過ごしたいと思います。今日のお供の本は、佐藤忠男著『映画で世界を愛せるか』(岩波新書) 帯の言葉は「愛憎を超え国境を超え映画の力で全世界の人間と手を結ぼう」1989年1月刊。良書です。

 

さて、歳を重ねて鏡のなかの自分が誰かに似ていると思うようになりました。

というより、写真に写った自分の顔が、どうも自分の知っている自分ではなく、身内のよく知った誰かに似ている、と感じたのです。若いときには似てると思わなかったのに、きっと歳を取ることでパーツが際立ってきたのでしょうね。DNAとはそういうものなのかもしれません。

 

小野哲平さんの個展をonariNEARで開催しています。

1月ですから寒くて凍えるような日もありますが、連日、ギャラリーを訪ねてくださる方で、店内はいつも温かな空気に包まれています。ありがとうございます。

 

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「この肌の器、めし碗を使っているのですが、同じタイプのもので湯のみが欲しいと思ってきました」

「色々な作家さんのものを持っているのですが、やっぱり使うのは哲平さんなんです」

「ひとつしかないコーヒーカップを夫婦で取り合っています。だからもう一客欲しくて」

「鉄化粧の取り皿を二枚持っているので、この呉須の取り皿も二枚にしました」

「どうしてこの器は気持ちがいいのでしょう」

「最初は重くて使いづらいのかな、と思ったけれど、他のものにはない安心感があるので、つい手が伸びてしまうのです」

 

皆様のお話をお伺いしていますと、小野哲平さんの器を求めていらっしゃる方は、もうすでに哲平さんの器をお使いになられている。この確率が高いのです。そして、とても嬉しそうに、わが家の「哲平さん」についてお話してくださる。

 

これは本当に素晴らしいことです。

器への信頼という言葉が的確かどうか、と思いますが、

使われてこそ価値のある器に、ひとつ手に入れてみたけれど、ひとつで良かったのではなく、もうひとつ、さらにひとつ、と、受け入れてもらえることが、器にとって、どんなに素晴らしいことでしょう。

いっとき、雑誌に力があった時代、誰かが紹介したとか、誰かが使っているとか、そういう「情報」で人がモノを買う時代がありました。いまもそういう風潮はあるのかもしれませんが、そんなことで人気になるのは本質からはほど遠いことです。

 

ひとりの手のなかで、ひとりの心に訴えかけられるのは、ひとつの器です。同時にふたつの器を人は手に包むことはできないのです。

 

だから、手に包まれることが大事。

手にしてもらうことが大事。

そして、繰り返し、使ってもらうことが大事です。

 

この器と出会えた人は幸せだなぁ、と思うことがあります。そう思える器はわたしにとっても喉から手が出るほど欲しいのです。今回の小野哲平さんの呉須のお仕事は、青く深く、一客ずつ、そこに宇宙があるように美しいものです。

よい器とは、作家の苦労の結実と申しましょうか、器のいたるところに、繰り返し作り手が目指したものが現れている器です。

 

哲平さんの器は、これまでの作陶のキャリアのなかで、どのくらいの器が生まれたのでしょう。作品集『TEPPEI ONO』には独立直後の25歳の時の作品から現代まで100点以上の器が掲載されています。時代時代に作風があり、そのひとつ、ひとつ、どこか名の知らぬ誰かの手のなかで、育っていることを思うと、素直に、こころが温かくなります。

年代年代で、同じころに焼かれた数多くの器があり、それらは大変似ています。小野哲平さんの器には、小野哲平というDNAがあるということなのでしょう。でも、ひとつひとつ異なる。そして実際、使う人の手によって、違う使われ方をしていて、育ち方も違う。けれど、それらの器は同じように、使う人に愛されて大事にされている。今回の小野哲平さんの個展で皆さんとお話していますと、いつもに増して、そう感じられるのです。

 

------ 哲平さんにとってのいいうつわってなんですか?

 

「食器棚にある器で何も考えなくても、ついつい手のいくうつわってないですか?機能や使い易さも大事ですが、気持ちを受け止めてくれるうつわでしょうか」(2015年10月東京・青山CIBONEで配布のフリーペーパーにて)

 

小野哲平展は2月1日まで。

明日は関東でも雪が降るようです。

寒い日が続きますが、器とともに暖かくしてお過ごしください。

良かったら、器に会いにいらしてください。

頼りになる器を手になさったら、気持ちが晴れることもあるかもしれません。

 

 

 

空のように

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澄み切った空はいつ見ても、心がしゃんとするものですね。

今週、強風が吹き荒れた嵐の日の翌日には、風神が世に滞ったものを一掃し、流し、連れ去り、隅々まで、空気を入れ替えてくれました。

天高く、澄み切った空は、晴れやかな気持ちにさせてくれます。 

1月16日に初日を迎えた「LIVE 器と料理 to eat is to live」展。オープニングイベントにはこの本のプリンティングディレクターを務めてくださった熊倉桂三氏をお迎えして行われました。遠方よりご参加頂いた方も多く、とても感謝しています。ありがとうございました。


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それにしましても、三島にあるクレマチスの丘は広々とした気持ちのよい場所ですね。噂には聞いておりましたが、訪れてみて、実感いたしました。冬でこれほど美しいのですから、新緑のころ、紅葉のころには、ため息が出るほど素晴らしいのでしょう。

展示はエントランスからすぐの富士山茶屋にて。実際に撮影に使用した器のご紹介とともに、亀田大介さん、吉田直嗣さん、吉村和美さんの新作の器をお求めいただけます。会期は2月29日まで。富士山茶屋の二階には日本料理、園内にはワインも美味しいイタリアンレストランも。緑の美しい景色を見ながら頂く食事も素晴らしいです。この機会にお出かけになり、どうぞゆっくりお楽しみください。

 

クレマチスの丘 https://www.clematis-no-oka.co.jp

 

onariNEARで1月18日まで開催された吉岡萬理さんの個展も終了いたしました。お出かけいただきました皆様、ありがとうございました。

新年の展覧会はじめに、明るく人を励まし心が晴れやかになる器をお伝えすることができました。カラフルなシーサー君は、今頃、それぞれのお家に落ち着いて、鎮座していることと思います。ユニークな顔立ちが少し得意げに、誇らしく、微笑んでいるのでは、と想像します。またお家でのシーサー君の様子、ご家族との会話? をお知らせいただけると嬉しいです。

 

愉しいものを見ると、愉しい心を感じます。

美しいものを見ると、美しい心がそこにある、と感じます。

あたたかいものを見ると、あたたかい心を感じます。

こうしたものを数値で計ることはできませんが、

美しい手の仕事が人々に受け入れられるのは、

そこにあるものを、語らずとして、感じることができるからでしょう。

 

心というものの在処に、空を迎え入れよう、と思います。

青空を感じるものを、伝えたいと願います。

 

澄み切り、潔いものは、強く誇らしい顔をしています。

そのことを、いつも、私は、器に学ぶのです。

 

さて、今週1月23日(土)から小野哲平さんの個展が始まります。

鎌倉に、美しい青の仕事、呉須の器を中心に、新作の器が多数届きます。

初日、小野哲平さんが在廊されます。

 

どうぞお出かけください。

 

http://utsuwa-shoken.com

 

 

 

 

 

 

「LIVE 器と料理 to eat is to live」展 へのお誘い

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こんにちは。

新年早々、驚くようなニュースも飛び込んできます。

はじまりがあれば終わりがあり、転換期もございます。

でも何かの一歩が、新しく、素晴らしい何かを運んできてくれることは疑いようのないことですね。

私にとっては、昨年上梓した一冊が、確実に新しい何かへの一歩となり、素晴らしいご縁を結んでくれました。今日は、その、多くの芸術と庭園の美しい素晴らしい場所で行う展覧会へお誘いさせてください。

 

今週末より「LIVE 器と料理 to eat is to live」展が静岡県三島にある「クレマチスの丘」において始まります。会場はクレマチスの丘のエントランスを入ってすぐの日本料理のお店の一階 富士山茶屋のスペース。器と写真の展示のほか、料理教室やうつわ講座、本展を記念して特別に音楽家・大貫妙子さんとのトークイベントなどが行われます。

『LIVE 器と料理 to eat is to live』は昨年4月に刊行された書籍。企画・編集・プロデュースを務めました。写真の木村文吾さんもコメントされていますが、年を超して出版記念イベントを開催していだたけるなんて、なんて幸福な本だろうと思います。

 

2011年の震災後に、自らできることをしよう、と立ち上げ、多くの皆様の協力のもとに完成し、器と料理、そのどちらも主役にした「はじめての器と料理の本」として書店のご担当者も含めて評価を頂いた一冊。もともと刷りも少ない限定本でしたので、いまではなかなか手に入らない一冊になった感があります。

to eat is to live 食べることは生きること、副題となったこの言葉については、自ら米つくりを実践されている音楽家の大貫さんとゆっくり話を伺いたいと思っています。2月13日開催、ただいま予約を受付ています。

 

さて、1月16日のオープニングイベントには、吉田直嗣さん、吉村和美さんも揃って出席されるので、おふたりからは器の興味深い話もしていただこうと思います。撮影に使われた器ともに、三人の新作の器が展示販売されます。もちろん、書籍もこの機会に手にしていただけます。

 

初日午後17時から行われるオープニングイベントに皆様をお誘いしたいと思うのは、わたしたちプロジェクトメンバーだけではなく、この本のプリンティングディレクターを務めてくださった熊倉桂三氏に御登壇いただき、お話をお伺いする貴重な機会だからです。

 

熊倉さんは故亀倉雄策氏、故田中一光氏、永井一正氏、勝井三雄氏、浅葉克己氏等グラフィックデザイナーや、故並河萬里氏、石元泰博氏、十文字美信氏、白鳥真太郎氏等フォトグラファーなど、多くのクリエイターとともに共同作業で作品を生み出してきた方です。写真、デザイン、印刷、本つくり、あらゆる表現の「美しい」ということについて興味のある皆さんに聴いていただきたいお話になると思います。私も、いまから、わくわくしております。

 

考えてみますと、静岡でのイベントは2006年の『やさしい野菜やさしい器』(ラトルズ刊)の出版記念の会を沼津でさせて頂いた以来なので、ずいぶん久しぶりです。ふだんお目にかかることの少ない静岡県周辺の皆様にこの機会にお会いできたら嬉しく思います。

 

電車の方も、トークイベント終了後には美術館から駅まで移動ができるそうです。ご予約・お問い合わせはクレマチスの丘 コミニケーションセンターまで。

 

当日のご参加ももちろん大丈夫です。

美術館や庭園、クレマチスの丘での時間を楽しまれてください。

ぜひ足を運ばれてください。

 

クレマチスの丘コミュニケーションセンター

           TEL 055-989-8785(水曜定休)

 

クレマチスの丘についてはこちらをご覧ください。

http://www.clematis-no-oka.co.jp/about/index.html

 

 

LIVE 器と料理 to eat is to live展

 

期 間 2016年1月16日(土)―2016年2月29日(月)

定休日 水曜日(祝日の場合は翌日休)

会 場 クレマチスの丘 富士山茶屋(日本料理 tessen 1階)

    静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1      

時 間 11:00-17:00

 

書籍『LIVE 器と料理 to eat is to live』

 

発行/青幻舎   発行年/ 2015年5月

器/亀田大介 吉田直嗣 吉村和美   料理/イチカワヨウスケ   写真/木村文吾

  アートディレクター/中川優   コミュニケーションディレクター/三浦哲生

  プロデュース&編集/祥見知生

 

 

シーサー君の笑顔・・

みなさま

こんばんは。

萬理さんロスの祥見知生です。

 

一年の最初の展覧会は吉岡萬理展。

奈良で作陶されている吉岡萬理さんは、ちまたでは、フウテンのばんりさんとの異名もある(ご自分でそう言ってみたいです)旅する陶芸家です。

御自分の車で西へ東へ。

個展のたびに器とともにギャラリーの街へめざし運転し、自ら搬入し、そして初日、疲れを見せず笑顔で皆さんを迎えいれる方なのです。

今回は1月9日土曜日に初日を迎え、夜はうつわ祥見の新年会に、続いて翌日翌々日、連休の三日間、ずっとギャラリーに出てくださいました。素晴らしい。

そして昨日の夕刻、とても爽やかな笑顔を残し、奈良へ帰って行かれました。

 

寂しい。

 

いまの心境を一言で言いますと、この言葉につきます。

 

愉しい時間はすぐに過ぎてしまいます。

 

大切なことは目に見えないけれど、大事なことは心に深く刻まれるものですね。

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滞在の期間、吉岡萬理さんの作品や、人間の大きさに学ぶことが多かったです。

沸き上がる思いから作られる作品は、誰にもマネのできない、本当の意味のオリジナルであり、これこそが芸術の力だと感じられる瞬間が多々ありました。そういう力のある作家の作品を伝えられることは、ギャラリーとして最大の喜びです。

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「うつわを使うたびにあなたを思い出す」

たまたま通られて色絵の器を求められた方が、萬理さんにおっしゃった言葉です。きっと、同じように感じられる方がたくさんいらっしゃることでしょう。

 

めっぽう明るく、人を励ます仕事を、吉岡萬理という陶芸家は仕事にされています。

使われてこそ、器であること。

そしてそこに、何人も攻めずに包むユーモアと笑顔があること。

 

根底に深い思いがあるからこそ、そこから放つ光が淀むことなく澄み切り、周囲を明るく照らすのですね。光は届くのですね。

 

器は人。器は心で感じること。

作り手はそこにいつもいてくれるのだと思います。

(シーサー君は実は萬理さん自身なのですね)

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うつわ祥見の新年会に出席してくださった皆様、遠方よりお出かけ頂いた皆様に改めて感謝をいたします。今年の抱負に、淡々と日々を過ごしたいと皆様が同じように言葉にされていました。

 

器と一日、そして器と一年、ですね。

 

私もこの、日々というもののかけがえのなさに

感謝して、器を信じていこうと思います。

 

吉岡萬理展は1月18日月曜日まで開催しています。

ぜひ、たくさんの萬理さん(シーサー君を含む作品たち)に会いにいらしてください。

きっと、心が軽やかになりますから。

 心よりお待ちしています。

 

 

 

“希望”ってなんでしょう ?

こんにちは。鎌倉は青い空が広がっています。

1月4日 今年の仕事始めの方も多いことと思います。

 

ただいま、東京・代官山蔦屋書店にて、高知で作陶する小野哲平さんの初めての作品集『TEPPEI ONO』の刊行を記念して、「小野哲平作品展」を行っています。作品集から初期の作品と新作の器が特別展示されています。

 

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什器は京都の和紙作家のハタノワタルさんの作品です。器はうつろなるもの、入れものとしての器から「新たなものがたりが生まれてくる余韻」を感じさせてくれる展示台を作ってくださいました。とても美しい什器です。

 

書店という紙を扱う場所は、ジャズ喫茶がかつてスピーカーから流れてくる重厚な音を空間に染み込ませていったように、紙という、原始の素材から漂う気配を複層的にまとって、独特の空気が生まれてくるものですね。代官山は東京でも珍しい地下に水脈がそのまま残っている清らかな地です。そこに建つ書店の一角に、土や火という原始の力から生まれた器が並んでいる景観は、何か、独特の「気」が流れているように感じられます。人と原始の素材、それらが交差して出来上がり、組み合わさって醸し出しているもの。美しい交差、と感じられるのです。

今回急に決まったこの特別展示に際し、ハタノさんにこの場の什器をお願いいたしました。2400㎝の長さのある什器を京都から都内に運ぶのは大変なことで、年末の多忙な時にこの大仕事も含めて、展示協力を快く受けてくださったハタノさんに心から感謝をお伝えしたいと思います。展示の什器も販売していますので、ぜひ、みなさま、ご覧ください。

 

また、空間の壁には、若木信吾さんの写真が掲示されています。大きく出力したポスターの合間に貼られたオリジナルプリントは、写真家自らが壁に掲示されたもの。ぺたぺた・・・自由に貼っていったという具合の、かろやかで愉しいものです。写真は作品集には掲載されなかったものが多く、この本の制作において初めて若木さんが訪れた工房での写真を見ることができます。もちろん、それらの写真のセレクトは若木さんにお任せしました。小野哲平さんの作陶の姿とともに、哲平さんの笑顔の写真が多いです。

 

常々、陶芸家・小野哲平さんの魅力は、厳しく鋭い眼光とともに、あたたかく包む人懐こい笑顔にあると思っていました。

 

器は人の手が作り出すもの、どんなに消そうと試みても、器は作り手を映すものですが、作品集のなかに綴られた正直な言葉と、若木さんが撮影された笑顔のプリントを見ていますと、展示されている器が、ますます魅力にあふれ、まるで「だいじょうぶ、心配ないよ」と笑っているように感じられて嬉しくなりました。

 

ああ、超えていける。

 

と短く思うのでした。何が超えていけるのか、ああ、それはあまりにも複雑で言葉にしがたいものなのですが、

 

ふと、この本の帯を見ますと、そのひとつの答えがここにもう既に用意されていたようです。

 

 

“希望”ってなんですか ?

 

小野哲平さんの初めての作品集『TEPPEI ONO』、この書籍を包む帯に言葉を寄せてくれたミュージシャン・ハナレグミこと永積崇さんが書いてくれた言葉です。

明後日1月6日に行われる『TEPPEI ONO』刊行記念トークショーでは、本が生まれたいきさつをお話する予定でいましたが、すでに行われた京都の恵文社ではトークのテーマとして「なぜつくるのか」を掘り下げていったのに対し、今回はこの言葉について、哲平さんとともにお話したいと思っています。

 

さて、希望って、ほんとうに、なんでしょう。

 

この帯の言葉について、深めていきたいと思います。

 

トークイベントは19時半スタートです。この帯の言葉を書いてくれたハナレグミも、京都に続いて、哲平さんの友人としていらっしゃい、トークに参加してくれます。

 

新年早々のお誘いになりますが、

ぜひいらしてください。

また、会場では、初公開のうつわラジオが設置されています。

DJカチカイゾウ氏による、小野哲平さんインタビュー、ぜひヘッドフォンでお聞きください。トークイベントではDJカチカイゾウ氏に会えますよ。

 

ゆっくりお会い出来るのを楽しみにしています。

 

うつわ祥見  祥見知生

 

 

 

 

吉岡萬理さんからのメッセージ 「諦めない」神様、シーサー君のこと

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お正月も三が日か早くも過ぎていきました。

子供のころは、この三日の夜というのが苦手だったものです。

ハレの日が終わるのは、日常に戻っていくルールをきちんと受け入れ、

社会の秩序におとなしく従うようなイメージです。

もうお遊びはおしまい、と言われているようで、

不条理のように感じていたのでしょう。

 

ハレの日の煌びやかさはないけれど、

明日からも、ふつうの日のふつうの時間を、慈しみたいと思います。

 

さて、奈良で作陶する吉岡萬理さんの展覧会が

鎌倉・うつわ祥見onariNEARで1月9日より始まります。

展覧会に際し、葉書のスペースでは伝えきれない吉岡萬理さんの言葉を印刷し、
新年のご挨拶とともに、ご芳名を頂いた千人を超える皆様に御送りしました。

「シーサーの話」「精神の自由」「僕のシーサーの話」という三つの文章です。

吉岡萬理さんらしいユーモアに溢れた文章で、
ものつくりの精神から生まれる言葉の力強さに
ぐいぐい引き込まれていきます。
現実に憂い、漂う閉塞感に
俳優の伊勢谷祐介さんの言葉を引きながら、
諦めないという言葉を綴っていらして、とても勇気づけられました。

私はいつも素朴で美しい器を伝えたいと願っていますが、
ときには、こんなにカラフルな愛しいものも、
皆さんにおすすめしたいと思うのです。
なぜなら、ここには「希望」があるからです。
平和への願いを諦めず、光のある方向へ。
どんな表現でも、向かう場所はひとつのように思えてなりません。

 

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萬理さんのシーサー君は「諦めない」神様 !なのです。

ぜひ、萬理さんの言葉をご一読ください。

 

【吉岡萬理さんからのメッセージ】


【シーサーの話】

今年は明るく使いやすい器の他に、シーサーが目を引くと思います。
シーサーと言えばわかりやすいからシーサーと言っていますが、猫に見えたら猫でもいいですし、怪獣に見えたら怪獣でもかまわないのです。僕からは「これは~です」とは言いません。見てくださった方が決めるのが一番です。
ここではシーサーと言うことにしますが、
もともとシーサーは、北アフリカ西アジアのライオン(獅子)だったそうです。
百獣の王ライオンは強さの象徴でした。
ライオンは、古代エジプトギリシャでは王や神々の守り神だったそうです。
ピラミッドの前のスフィンクスもそれです。
そしてその強さの象徴ライオンがだんだん東に伝わり中国に入り、朝鮮半島から日本本島に入ったら狛犬に、沖縄に入ったらシーサーになったそうです。

それからシーサーや狛犬には「阿吽」の概念がありますが、飛鳥時代に日本に伝わった時は左右同じ形だったそうです。その後、平安時代になると左右に差異がうまれ獅子と狛犬の組み合わせになり、「阿吽」の形が出来たのもその頃からと言われています。
一応調べてみましたが、人に話されるときは自己責任でお願いします(笑)

ま~そんな事で、今では狛犬もシーサーも「守り神」で「阿吽」があってと皆さん思われていますが、僕のシーサーはもっと自由な神様です。守り神でも構いませんし、戒めの神様でも構いませんし、ただの人形でも構いません。また、「阿」であろうが「吽」であろうが何でも良いのです。
皆さんの思うがまま、考えるがままのシーサー像を作り上げてもらえたらそれが一番です。好きにシーサー!!

 

【精神の自由】


物作りには精神の自由が必要です。
宗教も精神の自由を得るために祈ります。本来、既成概念や欲望やあらゆる煩悩は無いほうが楽なんです。 「何にもとらわれない」それが「精神の自由」なんです。
五郎丸選手のルーティーンも精神の自由を得る為のものです。
普段の練習から一連のあのポーズをすることによって、試合でも練習と同じ精神状態でキックすることが出来るのです。「このキックを入れれば勝つ!!」「入れなければ負ける!!」と言った呪縛から解き放たれ精神の自由を得る事が出来ます。 だからどんな状況の中でも高い確率でキックを決める事が出来るのです。
きっと、座禅や写経やあらゆる祈りは、苦しみや煩悩から逃れる為の物だと思います。
物作りには精神の自由が必要ですが(必要と思った時点で自由ではなくのるので本当は全く何も考えない)、普段の生活もそういうちょっとした時間が必要なのかもしれません。
シーサー君を、人それぞれのイロイロな神様に仕立てあげてもらい、少しでも「精神の自由」を得るお手伝いが出来るなら、それは本当に嬉しい限りです。


【僕のシーサーの話】


僕にとってのシーサーは「諦めない」神様です。
実はここのところ世の中を諦めていました。
福島をはじめとする原発の問題、温暖化、貧困、テロ、その他イロイロひどい話や問題が山積みで、どう考えても明るい未来があるとは思えないからです。
そんな行き詰まった感が漂う世の中ですが、俳優の伊勢谷友介さんは諦めません。
彼が言うには、普通なら諦めるか、思考を停止するか、そんな問題を知らないかだそうです。 それが普通なのだそうです。 そして皆が普通にしているから世の中は変わりません。

世の中を変えるには、変わった人になれば良いのだそうです。
そう言えばいつの世も時代を変えてきた偉人は、最初は変人でした。
そしてその変人が多くなったら世の中が変わるのです。
僕は、超保守奈良県のそのまたド田舎に住んでいるからかもしれませんが、
ご近所さんから「あいつはちょっと変わっとるな~」と言われています。
またそんなご近所さんに地球温暖化の話なんかしたら「そんな先の話より今の話や」「やっぱりあいつは変わっとるな~」と言われてしまいます。
田舎が悪いと言っているのではありません。田舎には田舎の良さがあります。古いしきたりや伝統はこれまでの社会を維持するのに大いに役立ってきたと思います。
しかし、それは普通なのです。 明るい未来を作り上げるよりも、今を生き抜くのに必要な事、またはその方が楽なんです。

しかし、そんな世界観ではおそらく世の中は変わりません。 明るい未来を作るには普通でない変人が増えないとダメだと思うのです。 今までどうしたら良いのか判らなかったのですが、伊勢谷さんの言う事はなるほどです!!
変人を増やせば世の中変える事が出来るという事なんです!!

僕は、自分が世の中変えるような大した事が出来るとなんかこれっぽっちも思っていません。しかし、この話は諦めない理由付けにはなると思うのです。
これまで諦めていましたが、諦めない理由付けが出来たからには諦めずにいようと思うのです。
シーサー君にそれを誓ったのでした。
シーサー君を見るたびに「諦めない」でいようと思うのです。                                                                                吉岡萬理

 

1月9日に初日を迎える吉岡萬理展では、大小さまざま、
カラフルなシーサー君が鎌倉に登場いたします。
ぜひ、お出かけください。

 

吉岡萬理展
会期1月9日(土)~1月18日(月)  会期中休 1月13日(火)  
営業時間 12:00〜18:00
作家在廊日 1月9日(土)1月10日(日) 1月11日(月・祝) 
場所 うつわ祥見 onari NEAR
神奈川県鎌倉市御成町5-28 TEL:0467-81-3504

http://utsuwa-shoken.com/exhibition/detail_20160109yoshioka.html